「ほかには?」と「目標設定」がやっぱり大事

彼、山田くんはまさに、クリティカルシンカーです。彼も言っていました。「別に15年後とか25年後でもいいんだったら違う登り方もあったよね」と。

ちなみに、実は、日本でいちばんたくさんエベレストに登ってるのは、撮影クルーの人らしいんです(笑)。NHKとかの。カメラとかの機材を持って上がらなきゃいけないので、たいへん。で、そんなことができる人が何人もいるわけじゃないので、必ず声がかかる人がいて、その彼がいちばん登ってる。

佐々木裕子『実践型クリティカルシンキング 特装版』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
佐々木裕子『実践型クリティカルシンキング 特装版』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

「ほかには? ほかにはないの?」。これが大事です。意外にあるものです。当たり前ではない答え。前提条件を裏返すような答え。自分の固定観念を裏返すような答え。それがあるんじゃないかと思って、自問自答してください。そのための構造化ですから。

で、何度も繰り返しますけど、それも目標設定次第。変えられるんだったら目標設定を変えるという手もあるかもしれません。30年後に登ることにするとか。

どうしても2年以内じゃないとダメだということになると、解決策はけっこう限られてきますね。だから、解決策は、目標設定とつながる。何度も言っていることですね。

解決策が見つからないのは課題の本質をわかっていないから

打ち手を考えて、ズームイン、ズームアウトしながら、目標と照らし合わせて絞っていく。絞れたら、さらに深掘りしていく。

なんとなくわかったと思うんですが、「目指す姿とのギャップ」、つまり「本質的な課題」がクリアだったら、「解決策」って意外に出るんです。難しくない。

もちろん「リアリティはどうだ」とか「実現性はどうなの」っていうところを詰めていくのは必要。でも、「まったく解決策が見つからなくてほんとどうしよう」というのは、ない。解決策が見つからないときって、何が本当の問題かがわからないときです。問題の本質がつかめていない。

エベレスト登頂は、資金不足に課題が絞れてましたよね。これに大学の単位が足りないとか、本質的でない課題が入ってくると、解決策も出しにくくなる。

ただし、解決策を実行するのは難しいですよ、もちろん。実行するのはまた別の力なのでここでは言いませんが。

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