消費増税、物価高もバカにならない…手取りは減る一方

1997年
年収 467万3000円−(社会保険料50万3700円+所得税9万3400円+住民税15万1100円)=手取り収入392万4700円

2020年

年収 433万1000円−(社会保険料66万1700円+所得税9万4600円+住民税27万2600円)=手取り収入330万2000円(62万2700円減、15.9%減)
【図表】手取り収入は62万円ダウン
図表=筆者作成

二十数年間で手取り収入は計62万円も落ち込んでいたのだ。

「手取り収入」を割り出したので、次に消費税の影響も考えてみた。この「手取り収入」からさらに消費税を差し引くと「実際に使えるお金」となる。

消費税は、1997年は5%だったが、2020年は10%である。そうなると実際に使えるお金は、次のように計算できる。

1997年
手取り収入 392万4700円×0.95=実際に使えるお金 372万8500円

2020年

手取り収入 330万2000円×0.9=実際に使えるお金 297万1800円(75万6600円減、20.3%減)

手取り収入は大きく62万円も落ち込んだのに加え、この消費税の影響で、実際に使えるお金は75万円も落ち込んでいたのだ。これでは生活が苦しくなるはずである。

物価上昇で“実質収入”は84万円もダウン

物価も考慮したい。では、何の物価と比較するべきだろうか。今回、筆者は「パン」を選択した。これなら庶民感覚でイメージしやすいはずだ。

総務省に問い合わせたところ、食パンの価格(東京都)は、2020年を100とすると、1997年は96.4であった。つまり食パンは3.6%値上がりしていた。ちなみに総務省の消費者物価指数の「総合」は、1997年が99.5で、2020年が101.8で、2.3%物価が上がったことになっている。

筆者は首をかしげた。本項を執筆している2022年4月はロシアがウクライナを侵略したこともあって、原油やレアメタルが暴騰していると報じられている。まさにハイパーインフレの到来だ。実際はさまざま分野の物価がもっと値上がりしているように思える。

よって総務省のデータには違和感があるが、とりあえず物価は全体的に3.0%値上がりしていたと仮定することにした。すると「実質収入」は0.97になるので、次のように計算できる。

1997年
実際に使えるお金 372万8500円

2020年

実際に使えるお金 297万1800円×0.97(上昇分)=実質収入288万2600円(84万5800円減、22.7%減)

以上の計算により、実質収入は1997年時点よりも計84万円も激減したことがわかる。