なぜジャニーズばかり起用されるのか

もちろん日本テレビとしては、その募金額と視聴率を保つための策を打ち続けている。その最たるところがジャニーズ事務所の所属タレント起用だろう。たとえば今回も、ジャニーズのタレントがメインパーソナリティーとして視聴率に貢献するだけでなく、募金行動の促進や、チャリTシャツ、LINEスタンプ、スマホARアプリなどの売上増が期待できる。

芸能界に人気者は多くても、「ジャニーズ事務所のタレントの物販力はずば抜けている」というのが民放各局の見方。ファンたちの「○○のために」「○○の実績になるなら」「○○に恥はかかせられない」という献身性は高く、ジャニーズ事務所のタレントを起用しておけば、募金と視聴率の両面で大失敗は考えづらくなる。

さらに日本テレビ全体で見ても、編成戦略を進める上でジャニーズ事務所との関係も保つことは重要であり、「24時間テレビ」はそのための貴重なツール。ネット上で「忖度そんたく」「接待」などと言われたところで、ジャニーズの起用をやめる理由にはなり得ず、大勢に影響はない。

ちなみに今年のメインパーソナリティーを務めるのは、ジャニーズのYouTubeユニット・ジャにのちゃんねる(二宮和也、中丸雄一、山田涼介、菊池風磨)の4人。登録者数343万人を誇るだけに、テレビの視聴者に加えて「ネット中心の生活を送る若年層をどれだけ連れてこられるか」を期待されている。

いずれにしてもジャニーズファンの若年層と、チャリティー番組を好む中高年層の両方が狙える「24時間テレビ」は、批判的な人の想像を上回るほど安定感のある番組なのだ。

社内外の人々を団結させる一体感

とりわけ放送することへの批判が大きかったコロナ禍1年目の2020年は、無観客、ソーシャルディスタンス、スタッフやセットの縮小、キャッシュレス募金、バーチャル募金メンバー、場所を伏せた募金ラン、深夜帯の事前収録など、さまざまな点で対策を進め、制作サイドは「新しい日常での1回目の放送」であることを懸命にアピールしていた。

裏を返せば、それぐらいしなければ放送できないほど反発が大きかったのだが、だからこそ当時は日本テレビ内や系列局の中でも、放送自粛を望む人の声がいくつか聞こえてきた。ところが放送を終えたあとにあらためて話を聞くと、一転して「やってよかった」という声が返ってくる。

では「やってよかった」と思う理由は何なのか。それはやはり前述した視聴率と募金額があってのことだが、もうひとつ挙げられるのが局内外の一体感。以前から社歴の長い人ほど、「24時間テレビ」のメリットに「同一部署内の団結と部署を超えた連携」を挙げる傾向があったが、コロナ禍という逆境下に見舞われたことでそれが深まったのかもしれない。

その団結や連携は全国各地の系列局も同様であるとともに、彼らにとっては「日本テレビとの関係性を保つ重要なイベント」とも言える。さらに、芸能事務所や福祉団体などとの団結や連携もあり、長い年月をかけて築いてきたものだけに「やっぱりやってよかった」「やめなくてよかった」と感じるのではないか。