――ライフサイクルの多様化によって、市場のニーズも変化しているということでしょうか。

筒井 これまで保険の主なターゲットは30~40代でした。いわば一家の大黒柱の方々の「万一のとき残された家族が心配だ」というニーズに合わせて保険商品を設計、販売してきたわけです。

しかし、これからは高齢者、しかも非常にお元気で、かつストックを持った方が増えてきます。そうなると従来の死亡保障だけでなく、医療や介護へのニーズ、さらに退職金などのストックをどう運用していくのかというニーズも高まってきます。

女性のニーズも見逃せません。女性の就労率が上がって、従来とはライフスタイルが変わりつつあります。また昨今は女性特有の疾病が社会問題化していますが、これらは若い時期に発症するケースも多く、医療保障、さらに生活保障をどうするのかという問題は無視できないでしょう。

加入率が落ちている若年層に向けても、新しい商品体系が保険に入るきっかけになることを期待しています。新しい商品体系では、例えば経済的な余裕がない若いうちは医療保険に単品で入り、ご家族が増えてから死亡保障や介護保障にも入るといった柔軟な入り方も容易になります。

日本の保険市場は人口減によって縮小に向かっており、もはや国内にチャンスはないということが盛んに言われています。しかし、私はそうした見方をしていません。少なくとも今見てきたように国内で努力すべきところがまだ多く残っている。現在、改革が議論されている社会保障制度の補完という機能もますます重要になります。戦略の立て方次第で、国内で成長できる余地はまだ十分にあるのではないでしょうか。