おおげさな運動でなくてもいい

では、糖の吸収を邪魔したり糖を消費したりして血糖値の上昇をゆるやかにするには、どんな運動が効果的なのでしょうか。

それは、有酸素運動です。

「ジョギング? 水泳? ウォーキング?」などと思うかもしれませんが、そんな大げさな運動でなくても大丈夫です。その場でただウロウロするだけでもかまいません。昔は「消化に悪いからやめなさい」と言われていたことをやるわけです。

「インスリンが効きやすい体」をつくる

食後に体を動かすことは、食後高血糖を防ぐ“特効薬”のようなものです。

さらに、運動には「インスリンが効きにくい」という体質を改善する効果もあります。

インスリンは出ているのに糖が細胞に取り込まれていかない、インスリンの効きが悪い状態を「インスリン抵抗性」と言います。

そのインスリン抵抗性の原因となるのが、内臓脂肪です。

食後に体を動かして血糖値の急上昇を抑えれば、インスリンの分泌も少なくてすみます。

インスリンは肥満ホルモンでもあり、余った糖を中性脂肪に替えて脂肪細胞にも蓄積させます。ということは、インスリンの分泌が減れば、脂肪の蓄積も減るということです。

結果、インスリン抵抗性が改善され、インスリンが効きやすい体になるのです。

また、インスリンが効きやすい体をつくるには、筋肉をつけることも大切です。

血糖値が上がってインスリンが「糖を取り込め!」と働きかけたときに、一番多く糖を取り込んでくれるのが全身の筋肉なので、筋肉が多いとインスリンが効きやすく、血糖値が下がりやすいのです。

ちなみに、筋肉をつけるのに必要な運動は、無酸素運動のほうです。

筋肉がつけば、基礎代謝も上がります。そうすると、同じ生活をしていてもエネルギーをより使うようになるので、やせやすくなります。

結局、血糖値を下げる努力は、やせる努力と同じなのです。