経営用語がわからず、会議中にこっそり検索

部下の性別や年齢にかかわらず、自分らしいコミュニケーションで相手を理解し、各人の個性を生かしたチームを作っていこう──。こうして自分なりのマネジメントスタイルを確立した頃、突然執行役員への昇格辞令が下りた。58歳で執行役員兼名古屋支社長に。

いきなり社長から電話がかかってきて執行役員にと言われ、「頭が真っ白になった」と山本さん。役員の仕事が何なのかまったくわからないまま、名古屋からオンラインで役員会議に参加する日々が始まった。経営用語がわからず、会議中にこっそり検索することもたびたびだったという。

一通り知識を得て、役員会議で出た話を現場にわかりやすく伝えられるようになった頃、東京本社に異動となり現職に就任。職員一人ひとりの「Will(やりたいこと)」を尊重し、会社の事業戦略と人材戦略をマッチングしていく仕事にやりがいを感じている。営業職出身として、本社と現場それぞれの考えを双方に伝えていくことも大事にしているという。

「業界のイメージを変えたいという思いは今も同じです。ただ、職員とお客さまに向き合うのはもちろん、今は社会にも視野が広がりました。職員、お客さま、そして社会全体から『住友生命があってよかった』と思われる企業にしていきたいですね」

プライベートでの夢は、定年後も仲間との楽しい時間を持ち続けること。皆で失敗談を振り返りながら、「大変だったけど一生懸命で楽しかったねって笑い合いたい」と目を細める。営業職員だった頃と同じように、これからも人と人とをつなぎながら、互いに一人の人間としてつき合える仲間を増やしていきたいという。

役員の素顔に迫るQ&A

Q 好きな言葉
人生、大したことはない
「父から言われた言葉です。今もピンチに陥ると、この言葉を思い浮かべて乗り切っています」

Q 愛読書
1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』藤尾秀昭(監修)

印伝のペンケース
プレジデントオンライン編集部撮影

Q 趣味
旅行、ゴルフ、街歩き

Q Favorite item
印伝のペンケース
「印伝は山梨県の特産工芸品で、山梨支社長時代にいただきました。勝負事に縁起のよいトンボ柄もお気に入りです」

(文=辻村洋子)
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