「5類」指定になるとワクチン接種は有料化される
【増田】感染症の指定を、結核やSARSなどと同じ分類の「2類」から、季節性のインフルエンザと同等の「5類」に変更すべきではないか、という声も根強くありますね。
【池上】東京都医師会は6月14日に〈「5類相当」に引き下げ、入院や就業制限、健康観察の措置を不要とし、インフルエンザと同様の対処にすべきだ〉との見解を公表しました。
しかし一方で、反対意見も根強くあります。懸念されるのは、「5類」指定になるとワクチン接種が有料化されることです。新型コロナでは、接種が無料だったからこそ、多くの人々が1回だけでなく、2回、3回とワクチンを打った。1回目の接種率は実に8割を超えています。これが有料になって接種率が落ちることになると、感染拡大、重症化の懸念が生じてきます。
病院によって違いますが、インフルエンザの予防接種が高齢者で2500円程度、若い世代は4000円程度でしょう。仮に新型コロナが「5類」相当に引き下げられてワクチンが有料化したとしても、おそらく自治体等が補助金を出して自己負担はかなり抑えられるとは思いますが。
【増田】それでも「お金がかかるなら打ちたくない」という人は、結構いるでしょうね。
病床確保のため、平時から民間病院に資金援助する案
【池上】6月11日の報道では、政府が民間病院に対して感染症拡大時の病床を確保せよと指示できるよう、平時から補助金や診療報酬で資金支援し、設備や人員を整えてもらうという方針を出す、と報じられました。
すでに政府は次の感染症の流行を見据えて、備えようという段階に入っているようです。コロナ流行当初に大混乱したわけですから、いずれ来る新たな感染症への対応策は、今からやっておこうと。これは正しい施策ではないでしょうか。