「とりあえず」と「次は」が口癖の人は相性が悪い

「ハーマンモデルが部下へのアプローチや面談に役に立つことはわかったが、部下全員が分析テストを受けることはできないし、誰がどのタイプなのかわからない」

そこで、4タイプのそれぞれの人がよく口にする「口ぐせ」を紹介しましょう。

● A象限に入る人の口ぐせ
→ 「要するに」「『ぐらい』じゃわからないよ」「具体的な数字は?」

● B象限に入る人の口ぐせ
→ 「最初は」「次は」「順番に(時系列に)教えて」「マニュアルが欲しい」

● C象限に入る人の口ぐせ
→「○○な感じ」「みんなと一緒に」「感情が大事」「わかる~」

● D象限に入る人の口ぐせ
→「とりあえずやってみよう」「面白いでしょ」「ざっくり言うと」「どーんと」(擬音が好き)

いかがでしょう。あなたの部下で、「あーっ、この言葉、よく使ってる」と、思い当たる方はいますでしょうか。

ちなみに、この4象限の「斜め同士」の関係はコミュニケーションの難度が高いと言われています。

つまり、AタイプとCタイプの人、BタイプとDタイプの人が会話をするとはかどらなかったり、齟齬が起きたりする傾向にあるのです。

相手の価値観が理解できないのですから、苦手に思うのもよくわかります。例えば上司と部下が斜め同士の組み合わせだと、好みが合わないということですね。

だからこそ、この4タイプを理解し、好みの違いを知恵として活用できると知っておくことが、相互理解につながるのです。

ソファでくつろぐ茶トラ猫
写真=iStock.com/Irina Gutyryak
※写真はイメージです

4タイプ別の「響く質問」

自分の部下がハーマンモデルのどのタイプなのかを知ろうとするとき、上司が「どんな質問の仕方をすると部下の反応がよいか」を観察することがひとつの手がかりになります。

● Aタイプの部下
「結論から先に話すこと」を好むので、「ズバリ聞くけど、どう思う?」とか「ひと言で言うと、何がしたい?」などという質問を好みます。

● Bタイプの部下
計画的なことや順番を重視するので、「これまでの経緯を順番に教えてくれる?」とか「まず、何からやるといい?」などの質問を好みます。

● Cタイプの部下
人同士のつながりを重視し、感情を大切にするので、「この部署に配属されて、今、どんな気持ち?」とか「周りの人たちとうまくやれてる?」などの質問を好みます。

● Dタイプの部下
創造性を大切にするので、「自由に語ってくれていいよ」とか「将来的にはどうしていきたい?」などの質問を好みます。

このように、タイプによって好む質問が異なりますから、新しく配属されてきた部下などと話すときは、どのタイプの質問により強く反応するかに注目すれば、その人の好む象限がわかるかもしれません。

これはひとつのアイデアですが、面談の冒頭で、次のように全部の要素を入れて、相手の反応を観察するという手もあります。

「今日は、1時間の間で、順を追って話を進めていきます(B)。この面談の目的は要するに○○です(A)。それについて○○さんがどのように考えて、何を感じているのか聞きながら(C)、これからの○○さんの未来についても話したいと思っています(D)」

少し強引に聞こえるかもしれませんが、これは私が実際に企業研修をスタートするときに必ず使っている「第一声」だったりします。

これにより4象限すべての要素を網羅するため、より多くの人にリーダーシップを発揮できると考えています。