「4つの分類」別に有効なアプローチ法を知る

ハーマンモデルは部下の思考の好みを把握するのに役立つだけでなく、部下への働きかけにも役立ちます。個別化してアプローチを変えると、より相手に届く働きかけができるようになります。

わかりやすく、オフィスの大掃除を例として説明していきます。

A象限の人に響くのはこんなアプローチです。

「本日は大掃除です。やり方は昨日送ったメールの添付を読んでくれれば全部わかるので、私から言うことはありません。ただ、ひと言だけ。日本人はアメリカ人の2倍、掃除が好き! 以上!」

次、手順が大好きなB象限の人へのアプローチはこんな感じが効きます。

「皆さん、こんにちは。本日の大掃除について順を追って説明したいと思います。まず、最初にやっていただきたいのは倉庫から掃除機を出してくることです。

次にコードを引き出して、あそこにあるコンセントに差し込んでいただきます。掃除機のスイッチを入れる前に忘れないでやっていただきたいのは換気です。しっかりと窓を開けてから掃除を始めてください。最初に掃除をしていただきたい場所は……」

次のC象限の人は、人同士のつながりが大好きなのでこんな感じでしょうか。

「大掃除と聞いて思い出すのは、子どもの頃、冬休みに田舎のおばあちゃんの家で大掃除を手伝ったことです。夜までかかって床を磨いたりしました。

そうすると新年には『大掃除、頑張ったね』なんて言って、おばあちゃんがお年玉をくれました。

お正月はきれいになった田舎の家で、すがすがしく迎えたものです。今日は皆さん、大掃除を頑張って、来年、キレイになったオフィスで気持ちよくスタートを切りましょう」

最後はD象限の人へのアプローチ。

「掃除と言えば宇宙でしょう。たかが掃除にあらず、すべての創造は美しい夜明けとともにやってきます。あれ、何の話だっけ? ま、とにかく、バリッとカッコよく掃除という作品を作りあげよう! ということね」

4象限の違いを明確にするため、少し極端に表現してみましたが、このように、相手の好みによって、アプローチを変えた方がより届くということです。

当然、面談のときに、どんな言葉をかけて「話を聞く」かも、部下のタイプによって変えていくと効果的です。

例えば、Aタイプの部下は、「結論から先に話すこと」を好むし、Bタイプの部下は、「順を追って説明する」ことを好みます。

Cタイプの部下には、「今、社内で困っている人がいるのだけど、力になってもらっていいかな?」と話せば響くし、Dタイプの部下は、「ウチの会社で初めての試みとなるプロジェクトがあるんだけど、会社の未来のためにやってみないか?」なんて言えば届く。

ハーマンモデルは、部下へのアプローチの個別化に活かすことができます。