ウーバータクシーは、雇用契約を結ばず、個人事業主として仕事を請け負うのが特徴だ。他のタクシー会社と何が違うのか。実際にウーバーと契約し、運転手として働いた英国人ジャーナリストのジェームズ・ブラッドワースさんがリポートする――。

※本稿は、ジェームズ・ブラッドワース、濱野大道訳『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した 潜入・最低賃金労働の現場』(光文社未来ライブラリー)の一部を再編集したものです。

顧客を待っているUberの車
写真=iStock.com/MOZCO Mateusz Szymanski
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携帯電話の指示に従って運転するだけ

客を乗せる地点に近づくと、極度の緊張に汗が噴き出してきた。幸いなことに、乗り込んできた女性はとりわけ敏感な嗅覚の持ち主ではなかったようだ。あるいは、ただ礼儀正しく何も言わなかっただけかもしれない。