仮に特別検査チーム9人の人件費を2期分で9000万円、指摘した額約173億円とすると、その人件費に対する倍数は192倍にもなる。一人当たりの指摘額も一期当たり約9.6億円と見るならば、前者の実績と比較すると、いかに高いパフォーマンスかがわかる。

そこで提案なのだが、例えば調査官100人程度を民間人と入れ替え、複数の特命検査チームを組ませて検査に当たらせたらどうだろう。単純計算でも1000億円近い無駄遣いを炙り出すことができそうだ。9人の任期は3年で今春満了してしまうそうだが、なんとももったいない話ではないか。

12年度の政府予算案による一般会計歳出総額は90兆3339億円。このうち社会保障費や公共事業費などの基礎的財政収支対象経費は68兆3897億円を占める。一方、税収は42兆3460億円。財政破綻を回避するためにも、一刻も早く両者をバランスさせたい。そのためにも無駄遣いをやめて、歳出削減を図ることが急務だ。

民間からの登用であれば、公務員同士のしがらみがなく、危機感を持って検査に当たれる。さらに、監査、経理、技術など精通している分野を持っていることが強い武器になる。その経験、知識を活用して関連する歳費を検査すれば、これまで見逃してきた無駄も発見できるはず。消費税のアップの前に「税金の無駄遣いバスターズ」の誕生が望まれる。

(高橋晴美=構成 ライヴ・アート=図版作成)