この2年、ジェネリック医薬品をめぐるトラブルが相次いでいる。信頼を取り戻すことはできるのか。東京新聞論説委員の五味洋治さんが日本ジェネリック製薬協会広報委員長の田中俊幸さんに聞いた――。(第2回/全2回)

※本稿は、五味洋治『日本で治療薬が買えなくなる日』(宝島社新書)の一部を再編集したものです。

患者に説明しながら薬を渡す医師
写真=iStock.com/SARINYAPINNGAM
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ジェネリック医療品のシェアは下がっていない

ジェネリック薬は、この2年間大揺れが続いた。製薬メーカーでつくる日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)広報委員長の田中俊幸さんは、メディアの取材に応じる一方、全国を回って協会としての取り組みを説明してきた。協会の会議室でじっくり話を聞いた。

——協会の歴史は?

【田中】1965年12月8日が設立日ですから、56年が経過しています。ジェネリック医薬品の製造販売を主な事業とする会社が正会員として、2022年4月1日現在、37社が加盟しています。初めて聞く名前もあり、こんな会社があるんだという印象かもしれませんが、この37社で、日本で今、流通しているジェネリック医薬品の約4分の3弱を提供しています。医薬品の製造に必要な製造機器メーカーさんなども賛助会員として参加しています。

そして当協会は、ジェネリック医薬品に関しては、厚労省、外部の団体様との窓口も引き受けさせていただいています。

——不祥事続きでジェネリック医薬品のシェアが下がったのでは?

【田中】厚労省から「最近の調剤医療費(電算処理分)の動向」が月別に発表されています。直近の2021年10月は81.7%でした(*1)。決して使われる比率が減っているということはないようです。月によっては減っていますが、大きく落ちているということはありません。

——日本のどこで主に使われているのでしょうか?

【田中】先の資料から都道府県のページを見ますと、東京都、神奈川県、大阪府、この3カ所が多いことが分かります。この3カ所で日本の約4分の1の薬剤費が使われています。つまり大都市圏となります。東京だけで見れば全国の11%ぐらいを占めています。県別に見れば、徳島県の普及率が低いのですが、ここ最近の伸び率は全国で1番の伸びとなっています。

なお、国の医療費自体を削減するには東京都、神奈川県、大阪府で、ジェネリック医薬品の使用が進むことが期待されています。

(*1)ジェネリック医薬品の数量シェア(数量ベース)=[ジェネリック医薬品の数量]÷([後発医薬品のある先発医薬品の数量]+[ジェネリック医薬品の数量])