小学生に「読解力」を身に付けさせるには、どうすればいいのか。β(ベータ)国語教室代表の善方威さんは「『人の気持ち』が理解できないと文章題は解けない。人生経験の少ない子どもたちのために、私は『6つのパターンに分けられる』と教えている」という――。
開いて置かれた本のページがハート形になっている
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人の感情がわからないと国語の成績は上がらない

文法知識がしっかり身に付いていて、文章中に書かれた事実関係も正確に把握できるのに、なぜか国語の成績が悪いという子たちがいます。

この場合に足りないと思われるのは「背景知識」。

これには、時代背景や文章が題材にしているテーマについての知識も含まれますが、大きなポイントとなるのが「人の感情」です。事実関係の読み取りはできているのにテストの特に物語文で点数が取れないというのは、「人の感情」が理解できていないパターンがとても多いのです。

入試でよく出る文章は、大きく「論説文(ここでは説明文も含む)」「物語文」の2つに分けられ、特に物語文では、登場人物の心情を問う問題がよく出題されます。

ですが、人生経験の少ない子どもたちが、他人の心情を推し量るのには限界があります。自分が経験したことのない状況であればなおさらです。

感情を「知識」として教える

そこで、私が行っているのが、「人の気持ち」の前提となる「物語の型」についても背景知識として教えること。

受験で出題される物語文のパターンを分析して6つに分け、それぞれオリジナルの名前を付けて子どもたちに解説しています。そして、それを理解して確実に記憶するよう指導しています。

成長の物語……依存から自立など成長する人の情況と気持ち
ビンボースペシャル……いわゆる「マイナス面」がある人の情況と気持ち
愛の物語……子どもへの愛情
二元論スペシャル……理性と感情に関する情況と気持ち
お金スペシャル……売り上げと経費など経済的な知識
ラブラブスペシャル……恋愛感情