国語の読解力はどうすれば身に付くのか。中学受験国語塾β(ベータ)国語教室代表の善方威さんは「読書好きでも読解力の乏しい子がいる。そういう子は『AI読み』の悪い癖をもつことが多い」という――。
図書館で本を選ぶ少女
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超・長文を読ませる塾の弊害

「先生、塾で出題される長文読解問題が長すぎて、どうしても時間内に終わらないんです」

国語の成績が伸びずに困っている中学受験生の駆け込み寺のようになっている私の教室には、大手有名塾から移ってきたり、並行して通ったりする生徒がたくさんいます。そんな生徒たちが訴えるのが、この「塾の長文問題が長すぎる」というものです。

近年、大手塾の模試では、長文読解の問題文が非常に長くなっています。例えば、今、手元にある某有名大手塾の5年生向けテストを見てみると、1行40字33行で14ページ。制限時間は50分です。小学5年生に1万5000字以上の問題文と設問に50分で答えることを要求しているのです。

そんな「超・長文」を読まされ続ける子どもたちは、その弊害として、「読み飛ばし」という悪い癖を身に付けるようになります。

たとえば本文を通読することを諦めて、傍線部分の前後だけをさっと読んで問題に答える。あるいは文中にある単語を勝手につなぎ合わせて、文意を自己流で解釈してしまう。こうした読み飛ばしは、「AI読み」などとも呼ばれています。

長文読解では「精密に読む力」が大切であるのに、超・長文問題を読ませる指導がその妨げになっているのです。