たとえば、「コア・グループのメンバーが設計会議に出席したら、たとえ何も発言しなくても出席者の創造活動を刺激することができる」。また、人々は「自動車産業のお偉方が一番乗りたがっているのはどの試作車なのか、コンピュータ産業のお偉方が熱心に見ているのはどのソフトウエアのデモなのか、産業を問わず、企業のお偉方が同僚に話しているのはどんなアイデアなのか」といったことに注目する。そして「こうした手がかりを頭に刻み込んで、それに従って行動する」。

増幅のプロセスはあらゆるレベルの意思決定に強い影響を及ぼす。コア・グループのメンバーが重要とみなしていると思われることは、何であれ、その信奉者もまた重要とみなすのである。

「真に生産的なコア・グループでは、メンバーは組織のために崇高な目的を見据えている」とクライナーは言う。

「会社の発展と長期的未来に明らかに関心を寄せており、目の前の決定の背後にある論理的根拠を突き止めようとする。彼らがこのような行動を示すとき、彼らの信奉者はそれを見逃さず、自分の意思決定をそれに合わせて調整するようになる」

会社の長期的未来に関心を寄せることは、コア・グループ自体を進化させるための道筋をつくることでもある。グループのメンバーは以下の問いを自らに問いかけ、正直に答えてみるべきだ、とクライナーは言う。

●「この会社で、長期的未来のために確かな土台を築きたいのか、単に収入を得たいだけなのか」

●「未来のために土台を築くのは、1人でできることか、それとも多くの人に協力してもらう必要があるか」

●「他者の協力が必要だと思っているのなら、自分は他の人々の考えや意見に積極的に耳を傾けているか。それとも、単に自分の命令を実行させるために彼らを雇っていると思っているか」

●「他の人々の協力が必要だと心底思っているのであれば、望ましい未来のためには、今から5~10年後に、この組織にどのようなコア・グループが形成されているべきだと思うか」

●「その未来のコア・グループに人材が必要になったとき、いつでもそこに加われるような人材を組織内で育てるため、自分は今、何をすべきか」

最も有力なコア・グループ・メンバーは、問題解決や意思決定に適した経歴やスキル、姿勢を持つ新メンバーを仲間に引き入れようとする、とクライナーは言う。これは通常、現在のものより多様性のあるコア・グループを育てることを意味する。

コア・グループの機能不全は広く行き渡っていて修正困難な場合もあるが、グループのメンバーは、会社の長期的未来を確かなものにし、会社を正しい方向に導くために策を講じることができるのである。

最後に、偉大な組織には偉大なコア・グループが必要だ。あなたがそのグループの一員であるとしたら、あなたの信奉者たちが団結してそこに入れてくれたのだということを、まず肝に銘じてほしい。そして、数年かかる場合もあるだろうが、彼らは一転して従うことを拒否するだけで、団結してあなたをそこから排除することもできるのだということを。

(翻訳=ディプロマット)