「特別な集団」の非公式な権限は毒にも薬にもなる

どんな組織にも公式の指示系統を超えて影響力を行使する集団が存在する。その集団には、肩書はなくとも、人望、実力、資源力、政治力を持つ人も含まれる。あなたがもしその一員であるとしたら、影響力の行使には細心の注意が必要だ。

リーダーの地位には例外なく大きな責任がともなう。組織上の権限を与えられている人の行為は重大な結果をもたらす。

しかし、ある種の非公式なリーダーシップにはそれ以上の重責がともなう、と『Who Really Matters: The Core Group Theory of Power, Privilege, and Success(誰が本当に重要か:権力、特権、成功のコア・グループ理論)』(2003年/邦訳なし)の著者、アート・クライナーは言う。この種のリーダーシップの責任は、たいてい指揮系統を超えたところにある。それはクライナーが「組織のコア・グループ」と呼ぶところの非公式の重要な責務だ。

コア・グループとは、公式の権限を大きく超えた影響力や権威を持つ人々から成る、あの「特別な集団」のことであり、どの組織にも存在している。コア・グループは公式の組織図には登場せず、メンバーのなかには自分がそうしたグループに属していることに気づいていない人もいる。しかしこのグループは、意思決定のなされ方や会社の進む方向に影響を及ぼす。そのため、自社のコア・グループに属しているリーダーは、会社を正しい方向に導くために具体的な策を取る一方で、自らの影響力の用い方に注意しなければならない、とクライナーは言う。

クライナーが「Are You In with the In Crowd?(あなたは特別な集団の一員か?)」(「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌、03年7月号)で述べているように、人はさまざまな理由からコア・グループのメンバーとみなされる。たとえば、重要な資源へのアクセスを管理している、尊敬されている、人望がある、実績を挙げている、権謀術数に長けているなどだ。コア・グループのメンバーには、公式な権力を持つ地位にいる人もいれば、非公式の権限を持つ人もいる。

自分がコア・グループのメンバーかどうかを知るためには、どうすればよいのだろう。以下のことを検討してみればよい。組織内の人々が、彼らなりにあなたの利益を念頭に意思決定を行っているように感じられるか。あなたの意見が組織全体の意見になる傾向が見られるか。あなたは自分が直接管轄している分野以外の人々から助言を求められるか。これらはみなコア・グループのメンバーの特性だ。