寺を復活させた副住職が次に狙っていること

がしかし、2020年春以降はコロナ禍が到来。団体客のキャンセルが相次いだ。それでもコロナ初年にあたる2020年夏でも3万人、翌2021年には3万7000人が寺に訪れた。

京都や奈良、鎌倉の観光寺院ではコロナ禍が始まって以来、設備投資や人件費などの固定費で経営を圧迫する状況が続く。たとえば奈良の法隆寺では先日、維持費を捻出するためにクラウドファンディングを始めたとのニュースが報じられたばかりだ。

だが、雲昌寺はそもそも大きな投資はしていないのでリスクは小さい。あじさいの株分け・挿木はさほど費用がかからない。ただ、地道に株を増やしていっただけのことである。

雲昌寺のあじさい
写真提供=雲昌寺/木村秀吾

あじさいで有名な寺は、京都の三室戸寺や鎌倉の長谷寺、明月院などさまざまある。筆者も多くのあじさい寺を訪れている。それぞれが、それなりに美しい。しかし、雲昌寺は他のあじさい寺とは一線を画す、感動の景色である。特に夜間ライトアップはブルーのLEDライトに照らされ、幻想的な世界が広がる。まさに、「見ずには死ねない景色」といえる。そこには、疲弊した地方の再生の灯火をみることができる。

雲昌寺の花を使った寺院・地方再生モデルは他の地域でも、まねる価値は十分ある。いや、これこそが地域創生の「唯一の手段」と言っても過言ではないと思う。

雲昌寺のあじさい
写真提供/雲昌寺

雲昌寺境内のあじさいはすでに飽和状態。すでに、古仲さんの目は寺外に向いている。

たとえば男鹿市内の高齢者施設にあじさいを分け、入居者が株分けを楽しんでいる。さらに自治体などとも連携し、秋田空港などへの株分けも検討されている。古仲さんはこれからもたくさんの人に喜んでもらえるようにあじさいを増やしていきたいと話している。

※同寺では2022年6月11日(土)から7月18日(月・祝)の間「あじさい観覧」が行われる

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