新モデルはランニングエコノミーが2%以上も増加
さて、6月14日から発売されるシリーズ最新モデルの「METASPEED+」だが、前出・竹村氏によれば「アスリートの声をもとに各パーツの形状や構造を調整するなど機能をアップデートしました」とのこと。
軽量で反発性を持つ独自開発のフォーム(厚底部分)は、ストライド型ランナー向けのSKY+は前作から4%増量、ピッチ型のランナー向けのEDGE+は16%増量だ。推進力を生みだすカーボンプレートの位置を調整したことで従来モデルよりランニングエコノミーが2%もアップしたという。走る力のロスが確実に減って、より速く走れるようになったわけだ。価格は前モデルと変わらず2万7500円(税込)になる。
アシックスはナイキに奪われたパイをいま取り返している。「ナイキの厚底は反発力が強すぎて、自分には合わなかった」という箱根駅伝ランナーがMETASPEEDを履いてハーフマラソンで自己ベストを出した例もある。
今回の取材とは別件で廣田社長と話をしたときに「やればできるんですよ」と笑顔を見せ、瞳をキラキラさせていた。本気になった日本の老舗ブランドが王者・ナイキに真っ向勝負を仕掛けている。
アシックスは今年7月に行われるオレゴン世界陸上をサポートしている。一方、米国・オレゴンにはナイキ本社がある。しかも、米国で世界陸上が開催されるのは初めて。どちらも“負けられない戦い”となる。
同社はオレゴン世界陸上で出場選手のブランド着用率15%を目指しているという。さらに2025年までに「パフォーマンスランニング市場のシェア1位を目指す」と宣言。東京が開催地の候補に挙がっている2025年の世界陸上で“首位交代”が見られるかもしれない。