党大会を前に手綱を緩める兆しは見えない

懸念されるのは、ゼロコロナ政策が中国の社会心理にかなりの痛手を与えたことだ。6月に入り上海のロックダウンは解除された。しかし、中旬に入ると上海で感染者が再増加し始め、検査が徹底されて一時封鎖に追い込まれる地区が出ている。秋に党大会を控える習近平政権がゼロコロナ政策の手綱を緩める兆しは見えない。

人々の自由は強く制限された状況が続くだろう。外出が制限され動線の寸断が続くことによって、飲食、宿泊、交通などのサービス業だけでなく生産活動も停滞する。企業も家計も先行きを懸念し、支出を抑え、食料品や在庫を買いだめする。中国経済の減速傾向は一段と鮮明化し、アジア新興国や欧州経済の減速懸念も高まるだろう。中国を中心に韓国の輸出増加ペースはさらに鈍化する可能性が高い。

輸出主導型の経済運営構造がピンチを迎えている

また、世界経済は脱グローバル化し始めた。それによって、韓国の輸入物価が急騰している。グローバル化を追い風にして資材をより安く輸入し、国内で大量生産を行い、より高く販売できる市場に輸出して成長を遂げた韓国経済は大きな転換点を迎えた。1960年代以降の韓国は、基本的には財閥系の大企業を優遇することによって、輸出主導型の経済運営構造を築き上げた。

韓国企業はわが国から家電、自動車、半導体などの製造技術を習得しつつ、資材を輸入し、国内で完成品を大量生産して輸出することによって成長を遂げた。それを加速させたのが冷戦の終結だ。1990年代に入り冷戦が終結すると、世界経済は急速にグローバル化して国境の敷居が下がった。

米国は自由貿易協定(FTA)を推進することなどによって経済運営の効率性を高め、韓国はその恩恵を受けた。