これまで四国経済が滞っていた原因はインフラにあった
四国の徳島、高松、松山は本来であれば温暖で暮らしやすい瀬戸内気候の地でありながら、1970年代に山陽新幹線が開通した中国地方と比べてインフラ開発が遅れ、相対的に経済が沈滞傾向にありました。
悲願としての3本の本州四国連絡橋によってようやく対岸と地続きになったわけですが、それはあくまで神戸、岡山、尾道、広島との距離が短くなったという話。東名阪と直結する瀬戸内の中国地方の各都市のほうが経済発展に有利だったことには変わりがありません。
1950年代から現在に至るまでの各県の発展を比較すると、確かに中国地方に比べ四国のほうが経済発展が抑えられています。しかし、私が要因分析してみたところ、四国の凋落は人口減少がもたらしており、生産性の格差はほとんど見られなかったのです。
高度成長期に集団就職の若者がどんどん集まった広島や岡山が発展し、金の卵の供給源だった四国経済が低調になる。インフラがもたらした人口格差が両者の経済発展の明暗を分けたことになります。
ところが四国新幹線をリニアで開通させ博多までつなげるという魔改造が成立すれば、状況は一変します。徳島、高松、松山、高知はそれぞれ福岡、大阪、名古屋とは1時間圏内、東京とも2時間圏内でつながります。
便利な場所には若者が集まる。若い人材が多い場所なら企業は投資する。経済発展の条件が揃います。
ここで完成させたリニア新幹線は、本書の魔改造計画として四国部分はJR四国に無償供与してしまいましょう。繰り返しになりますが、その理由は移動料金を安くすることによって経済発展を優先させることです。建設費がタダなら松山―東京間の2時間の移動がLCC並みの料金で実現するかもしれません。
「各都市に1時間で移動」大阪は交通の要衝になる
そして、そのインフラ投資は日本経済が復活することで最後に元は取れるのです。
松山や高松や徳島や高知がめちゃくちゃ便利なエリアになったとしたら、企業がどんどん投資をするようになります。便利な土地には人もどんどん集まってきます。
とはいえ最初は何か核になる企業誘致が必要かもしれません。シャープの親会社である台湾の鴻海にお願いして、中国と同じ規模のスマートフォンの製造拠点を誘致するぐらいの政策があってもいいでしょう。
その上で台湾や中国からスマホの製造技能を持った若い人材を大量に移民として集める。そうやって経済を回す雪だるまの核を作るわけです。
四国経済を人工的に発展させることは、大都市圏の混雑を大幅に緩和することになります。なにしろこれから先の日本は魔改造1のおかげで20代、30代の人口が2000万人規模で増えるのです。
それが土地が安く、うどんとみかんがうまくて、交通が便利な四国にどんどん集まってきます。
リニア中央新幹線の全線開通時期を2030年代前半に早め四国経由で博多まで一気に延伸することは、実は我が国第二の経済圏である大阪を日本のハブにすることにもつながります。
この改造で大阪は東京、横浜、名古屋、京都、高松、松山、博多などどこからも60分前後、どこへも60分前後で行くことができる日本経済の要衝地になります。
リニア中央新幹線貨物構想というものも考えました。リニア新幹線の主要駅で到着時に貨物車両を連結器で脱着させる構造にしてはどうかというアイデアです。それにより朝取れた九州の鮮魚がその日のうちに麻布の料理店に並ぶようになる。関西圏や瀬戸内の食材をその日のうちに日本中に運ぶことができるようになるのです。