自分がスペシャルだと認識するのは危険
このように自分がスペシャルだという認識を持っていると、他者との間にラインが引かれ、感情的にも他者から離れてしまいます。すると、些細なことでイラだち、そんな空気を他者も感じとって離れていくため、最終的に孤立することになってしまうのです。
一方、「みんな同じ人間なんだ」、「つながっているんだ」という意識を持つだけで、イラだちや不安の入り込む余地が少なくなり、どんな人ともつながりを感じて生きていくことができます。
もっとグローバルな視点で、日本と海外を海によって隔てられていると考えるか、海によってつながっていると表現するか。考え方一つ、言葉一つで、そこにラインが引かれるかどうかが決まります。
身近なところでは、私は、「心と体」という表現が大嫌いです。「Body &Mind」ではなく「Body/Mind」「Body・Mind」と並列に表記するのが正しいとさえ思っています。
理由はもうおわかりだと思いますが、心と体はつながっています。体が心に影響を及ぼし、心が体に影響を及ぼす。それは、医学でも証明されています。
心と体は同じもの。「と」でラインを引いて分けられるものではありません。同じように、「私とあなた」という表現も間違っているように思います。人はみんなつながっているのですから、「私のあなた」「あなたの私」と考えるだけで、自分と誰かを分断することなく、他者を思いやりながら、穏やかな心で日々をすごせるようになります。
誰かのせいで自分ばかりが苦しいと思ってしまうようなとき、誰かのことを批判したくなったとき、「私のあなた」と言葉を置き換えるだけで敵対意識が薄れ、心がほぐれていくことでしょう。
嫌われていない人は一人もいない
職場、趣味の集まり、町内会や老人会、どこにだって苦手な人の一人や二人はいるものです。日本では『法句経』とも呼ばれているインドの仏教書『ダンマパダ』にも、「嫌われていない人は一人もいない」と書いてあるくらいですから、どんな人ともうまく付き合える人なんていません。
でも、きれいごとに聞こえてしまうかもしれませんが、そこで出会ったのも、やはり何かの縁。それ以外にないと思うのです。