雨が降って憂鬱……そんな季節がやってきた。しかし佛母寺住職の松原正樹さんは「雨が降って『嫌だな』と思うのは、過去の経験と重ね合わせて今日の雨を見ているからです。雨の日も、風の日も、『日々是好日』。天気に優劣はありません。今日という一日にいいも悪いもありません」という――。
※本稿は、松原正樹『心配ごとや不安が消える 「心の整理術」を1冊にまとめてみた』(アスコム)の一部を再編集したものです。
過去を基準に今をジャッジするのをやめてみる
長く生きていると、「自分はこういう性格」「昔も同じような失敗をした」といったように、物事を自分の経験値で見てしまいがちです。
もちろん、その人が歩んできた過去は、その人を形成している何事にもかえがたい人生の宝だといえますが、過去にしばられてしまうと、今を生きるのが難しくなってしまいます。
「私は優柔不断だから、引っ越し先のご近所付き合いがうまくいかないかも」
「私は根気がないから、次の職場も合わないかも」
などと過去を基準に物事を考えてしまうと、心配ごとのスパイラルに陥ってしまいます。
たとえ過去に同じような失敗をしていたとしても、今現在も同様に失敗する理由はどこにもありません。過去の記憶を捨てるわけにはいきませんが、それに執着してしまうと、心配ごとの種をどんどん増やしてしまうことになります。
「赤ん坊の心」で生きる
ブッダは次のように教えています。
「過ぎ去ったことを追ってはならない。未来のことについて夢のような考えを持ってはならない。みんなそれぞれの時間が決まっている。
だからあっという間に過ぎていくもの、瞬きをする間になくなっているところのもの、つまり現在のみをよく観察するべきだ」
私は毎日を「新しい心」で生きるように心がけています。「新しい心」とは、過去や未来にとらわれない、「赤ん坊の心」といったところでしょうか。
「赤ん坊の心」で生きるのを習慣にしていると、生きていることに自然と感謝の気持ちが湧いてくるから不思議です。朝、目を覚ましたときに、「生きている!」と新鮮な気持ちで毎日を送ることができるのです。