彼女は「モノ」扱いされることに飽きている

試合がある日にスポーツバーに行けば、ぴったりのボディコンやショートパンツ姿のゴージャスな女性がビールなどのお酒を売っている。

ジェフリー・ミラー、タッカー・マックス著、橘玲監訳『モテるために必要なことはすべてダーウィンが教えてくれた』(SBクリエイティブ)
ジェフリー・ミラー、タッカー・マックス著、橘玲監訳『モテるために必要なことはすべてダーウィンが教えてくれた』(SBクリエイティブ)

これが男性にモノを売りつけるもっとも効果的な方法だからだ。

企業は恥知らずにも、酒だけでなく、自分たちのさまざまな商品やサービスを宣伝する媒体として、美しく、露出度が高く、巨乳でウエストが締まった脚の長い女性を使っている。──そして成果を出している。

女性は自分がモノ扱いされていると敏感に感じとっている。

メディアは非現実的な美の期待をつくりあげ、女性たちにそのイメージを押しつけ、不安にさせている。

その一方で、「男は女の胸と尻と脚の長さしか気にしない」と女性たちは信じるようになった。それが、男性への不信と怒りのもとになっている。

女性の視点を理解するいちばん効果的な方法

女性を魅了するには、マーケティングの手段としてモノ扱いすることをやめ、彼女の視点に立たなくてはならない。生きていて、ものを考えることのできる、感覚をもった一個人として扱わなければならない。彼女を「モノ(object)」ではなく「主体(subject)」として扱い、受け入れ、理解し、個人的・主観的な意識を認める必要がある。

皮肉なことに、女性の視点を理解するいちばん効果的な方法は、彼女を君の(マーケティング対象である)顧客として理解することだ。女性は、君という商品とその広告(君の性格とそれを示す証拠)を評価して、自分の人生に価値をつけ加えてくれるかを判断するやり手の消費者なのだ。

女性をモノ扱いするのは道徳的に間違っているだけではなく、モテという目的に照らした実用的な観点からも愚かだ。