「DX」のニーズの高まりなどで、コンサルティング業界が活況を呈している。コンサルティングファームへの転職者は過去10年で3倍に増えているという。ヘッドハンターでアサイン取締役の奥井亮さんは「いまコンサル業界の求人は非常に多い。しかし、安易に飛び込むと後悔することになるかもしれない。求められるスキルについて正しく理解しておく必要がある」という――。
資料を広げて仕事のミーティングをする様子
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年収や漠然とした憧れでコンサル業界に足を踏み入れてはいけない

コンサルティングファームの価値は、事業会社(クライアント)が事業拡大を目指す上で、自分たちだけでは解決困難な課題に対して提案や実行の支援を行うことであり、これは今も昔も変わりません。しかし、この10年でその仕事内容は大きく変わりました。そして、次の10年でもまた大きく変わることが予想されます。

このコンサル業界の変化、そしてそこで求められる一人ひとりへのコンサルタントへのニーズの変化を正しく理解せずに、コンサルに対する憧れや、年収などの足元の実利だけでコンサルタントというキャリアの選択をしてしまうと、10年後にはコンサル業界で生き残ることが難しくなってしまう可能性もあります。

少数精鋭から一変、デジタル化の影響を受けて大量採用

コンサルティングファームというと、少数精鋭というイメージを持っている方も多いと思いますが、近年、各ファームは急激にその規模を拡大しています。例えば、アクセンチュアの日本法人の社員数は2014年までは5000人前後で推移していましたが、2020年には1万5000人を超え、6年間で約3倍の規模になりました。また、デロイト・トーマツ・コンサルティングもおよそ4000人である社員数を5年後に1万人にする計画を発表しました。

この背景は言わずもがなデジタルであり、連続的なデジタルの波が各ファームの拡大の後押しをしています。例えば、基幹システムの刷新、システムのクラウド化、アプリのネイティブ化、そしてコロナ禍により加速したDX化などがデジタルにおける大きなテーマの例です。

デジタルの波によってコンサルティングファームのプロジェクトの支援領域は、中期経営計画、事業戦略やあるべき組織体制を描くといったいわゆるピュア戦略から、最新テクノロジーの活用や経営体質の改善へと広がりました。また、プロジェクトが絵に描いた餅に終わらないよう、ITの実装や実行まで一気通貫した支援への需要が大きくなり、それまでSIerの仕事であった開発や保守運用までもコンサルティングファームが担うようになり、その規模を拡大しています。

転職者数という観点でもコンサルティングファームの拡大は見て取れ、10年で約3倍になりました。特に、SIer出身者などのデジタルに知見のある人材の採用が拡大しています。