デジタル人材のままだとコンサル業界での生き残りは困難
DXによる今後起こる人材需要の変化をまとめると、しばらくはD(デジタル)人材の需要が大きいものの、5年、10年かけてX(トランスフォーメーション)人材へ需要がシフトしていきます。コンサルタントもこの需要の変化に合わせて、自分のスキルセットをアップデートしていかなければ、だんだんとその市場価値が下がってしまい、最後にはコンサル業界を後にしなければいけなくなる可能性もあります。
では、コンサルタント自身は、どのようにD人材からX人材へと変わっていけばよいのでしょうか。
まず、前提としてデジタル知見を常に最新のものにしていくという努力が必要です。繰り返しになりますが、X人材にはデジタル知見が不要かと言うとそうではなく、D人材だろうがX人材だろうが、コンサルタントにとってデジタルが標準装備の時代になります。そういった意味で、もちろんデジタル知見はこれからも重要です。
その上で、身に付けなければいけない力が、企業を変革する力です。これは、素晴らしいアイデアを生み出す力ではなく、人や組織を動かす力です。もう少し具体的に言うと、プロジェクトメンバーやクライアントに顔が利き、そして本当の意味で組織を変えるんだという強い思いを持ってクライアントの社内を走り回るような力です。
これは、実際にやってみないと身に付かないスキルです。組織を変えるためにはトップの考え方を深く理解した上で、現場を動かす経験を積む必要があります。デジタル化に限らず、こういった変革は組織に一時的に負荷がかかるものですので、それに対して保守的になる方は一定数存在します。そういった方をいかに巻き込むか、また社内政治のパワーバランスやキーパーソンを見極めながらコミュニケーションをとる力も必要です。
また、戦略・業務・ITと切り分けるのではなく、変革に必要な要素すべてを一気通貫して支援できる環境に身を置くことも重要です。
企業を変革する力を養うスキルを磨き続ける必要がある
これまでの10年でコンサル業界は大きく変化しました。戦略コンサルタントとして活躍されていた方が、デジタル化の波に対応できず、プロジェクトへのアサインが減り、年収も大きく減ってしまったといった話も耳にします。これは戦略コンサルスキルがあるだけでは生き残ることができないことの一つの事例であり仕方がないことだと感じます。
これからの10年はさらに激しい変化が予想されます。冒頭でも述べたように、コンサルに対するイメージや足元の実利だけでコンサルタントを目指すのではなく、先を見据えたキャリア選択をしていただきたいと思います。
また、コンサルタントになったからといって、安心することなく、DX時代を生き抜くために、時代の潮流に合わせてスキルを磨き続けていくことが必要です。