主務に立候補した女子マネが円陣で選手に檄を飛ばす
昨夏に続き、今年3月に同校を訪ねた雨の日。各部共有のトレーニングエリアで3人がウエートトレーニング、他の3人が柔道場で打撃練習の一環としてバドミントンのシャトル打ちなどを行っていた。
不均衡さも否めない。部員8人のところに大槻健太監督、部長、磯岡と常勤講師がもう一人と顧問が4人いるのだ。ゲーム形式のノックは顧問がランナー役になる、というが笑えない。
ノックの時、ボールを渡す役割は2人の女子マネジャー。ボールを拾ったり集めたりと忙しい。彼女たちは他のバッティング練習でも仕事をする。
マネジャーのひとり、松本くるみさん(3年)はチームナンバー2的な存在の主務でもある。
「選手間で主将と主務を選ぶんですが、あいつは主務に自分の名前を書きよったんです」
と磯岡が笑いながらいう。本人の心の内はこうだ。
「(昨秋)新チームがスタートするとき、もっと役に立つことはないかなと。一歩、勇気を出して主務に立候補しました。なってみて声出しとか、チーム全体の動きが変わったなと思います。みんな積極的になったし、自分でも引っ張っている自覚はあります」
実に頼もしいのだ。磯岡が付け加える。
「女子マネジャー、元気ありますね、って試合の後、相手の監督に言われることがよくあります」
ある日の練習後の円陣で、松本さんは選手にこう檄を飛ばしたそうだ。
「こないだの試合、守備はそこそこやったけど、攻撃が散々やった。もっと点を取れるようがんばろ」
もうひとりのマネジャー、森木紗英さん(3年)は松本さんが主務への立候補を事前に聞かされたという。
「格好いいなと思いました。声を出してまとめるところがすごい」
マネジャーとして達成感がある、と2人は顔を見合わせた。選手からの感謝の言葉で充実感を味わえるそうだ。
「まだ経験したことのない(現チームの)公式戦勝利が彼女たちへのプレゼントになるんですが」
磯岡が選手に奮起を促した。