ピーナッツではなく、ナッツがいい
●ナッツ類
ナッツ類(とくに木の実)には驚くべき抗がん作用がある。ある研究では、イェール大学の研究者がステージ3の結腸がん患者の死亡率とがん再発率を調べた。1人前の量のナッツを週に2回以上食べていた患者は、がんの再発率が42%、死亡率が57%減少していた(注1)。そう、週に2回以上ナッツを食べていたがん患者は、死亡リスクが半減したのだ。これは、一般的な化学療法によるがん治療よりも効果的といえよう。
注目すべきは、ピーナッツを食べた患者では、がんの再発や死亡の減少が見られなかったことだろう。なぜなら、ピーナッツはレクチンを多く含むマメ科の植物であり、ナッツではないからだ。ちなみに動物実験では、ピーナッツのレクチンは結腸がんを促進するという結果が出ている(注2)。
別の研究では、クルミを食べさせたマウスの結腸にできた腫瘍の数は、クルミを食べさせなかったマウスの半分以下だった(注3)。研究者たちはマウスの糞便サンプルを調べ、消化管内に生息する細菌を調べた。その結果、クルミを食べたマウスの腸内微生物叢は互いに似ており、結腸がんを防ぐ細菌群集を形成していることがわかった。つまり、クルミを食べたマウスの腸内細菌は増殖し、お返しに宿主の体を守っていたのである。
結腸がんだけではない。私が2年間研究員をしていたメリーランド州ベセスダの国立衛生研究所が行った別の研究では、ナッツ類を大量に食べている人は、あまり食べない人に比べて肺がんになる確率が26%低くなるという結果が出ている。
驚くべきことに、その効果は喫煙者にも及んだ。定期的に喫煙する人でナッツを大量に食べている人は、ナッツをほとんど食べない喫煙者に比べて、肺がんの発生率が39%も減少したのだ(注4)。これは、ナッツが喫煙者を喫煙の悪影響から守っていることを示している。
あるシステマティックレビューによると、ナッツ類の摂取は、がんだけでなくあらゆる原因による死亡のリスクを低下させることが示されている(注5)。それも、わずかな差ではない。ある研究では、ナッツを大量に食べていた女性は、あらゆる原因による死亡リスクが半減していた(注6)。