高が予想するように、ウクライナ戦争後にロシアが著しく弱体化し、国際的に孤立すれば、中国は頼りになる盟友を失うことになる。中ロが結束して西側の民主主義陣営に対抗する権威主義的な陣営を構築すると見られていたが、この構想もつぶれる。

プーチンとの親密ぶりをアピールしてきた習の対ロ外交は、ロシアのウクライナ侵攻で裏目に出た。今後戦闘が長引けば、ロシアに対する国際社会の非難が中国にまで向けられる恐れがあると懸念する声も聞かれる。

それと同時に、習もプーチンと同じ状況に置かれていることを警戒する声もある。つまりイエスマンに囲まれ、地政学的な環境の変化について「耳の痛い助言」をする者はおらず、偏った見方を補強する情報しか得ていない、という状況だ。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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