「無自覚の便秘」に気付く方法

以上、便秘のリスクについてご説明しました。これらは便秘の自覚がある方にはもちろん、自覚のない方にとっても無関係なこととは言い切れません。冒頭でも触れたように便秘は排便回数だけでは判断できませんし、排便のサイクルや感じ方は個人差の大きいところでもあります。そのため、実は自身が便秘であることに気付いていない場合もあるのです。

・一度に出る量が少ない
・コロコロした小さい便である
・硬い便である
・排便後に残便感がある
・溜まっている感じはあるがいきんでも出ない
・お腹の張りがある
・食欲がない

たとえ毎日排便があっても、上記のような症状がある場合には無自覚の便秘かもしれません。これらの状態は正常な排便とは言えないことを覚えておいていただければと思います。

トイレットペーパーを引き出す人の手
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ストレス、運動不足、睡眠不足には要注意

最後に、便秘につながるNG習慣を確認しようと思いますが、その前に消化の一連の流れと、ポイントとなる「ぜん動運動」について簡単にご説明します。

人が食べたものは胃や小腸を通過して、大腸へとたどり着きます。大腸にて水分が吸収され便を形成し、便は「ぜん動運動(縮んだり緩んだりする動き)」によって大腸内を移動し直腸まで運ばれます。脳から便意が伝わることで排泄されます。

この消化の仕組みが妨げられたり、うまく働かなかったりすると便秘につながる、または悪化を招くことになります。以下、その要因となる事象を挙げます。

・ストレス

ストレスは万病の元と言いますが、便秘も例外ではありません。人の体はストレスを感じると交感神経が優位となります。交感神経優位の状態では腸の働きが低下することがわかっており、腸のぜん動運動も低下し便が留まりやすくなります。

・運動不足

便秘にお悩みの方で、特に女性や高齢者などに多いのが、腹筋力の低さが原因の一つであるケースです。腹筋が弱いと排便時に十分な圧力をかけられないため、便が残りやすくなります。運動の習慣がない方、仕事中はデスクワークで座りっぱなしといった方は要注意です。

・睡眠不足

睡眠不足も腸のぜん動運動を低下させる原因となります。睡眠中は副交感神経が優位に働き、腸の動きが活発になりますので、しっかりと睡眠時間を確保することはスムーズな排便へとつながります。また、腸内環境の悪化は眠りの質を低下させることがわかっています。良い睡眠のために、就寝前にスマホやパソコンなどのブルーライトを見ることや、カフェインのとりすぎ、寝酒などは避けたいところです。