脂肪燃焼の不具合③:ビタミン不足

内臓脂肪がたっぷりとついている人ほど、タンパク質や鉄はもちろんのこと、ビタミン不足が顕著です。健全な代謝を支えるビタミンがないということは、当然ながら、体が脂肪を燃やす力も非常に脆弱ぜいじゃくになります。

現代日本の「普通の食事」は、「三食キッチリ主食をとる」というものです。

消費者庁の認可している「トクホ(特定保健用食品)」にも、「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」という表示が義務付けられているのが、象徴的です。このような「糖質盛りだくさん」の食事では、その他の各種栄養素が必然的に不足してしまいます。

まず、ビタミンB群とCは水溶性ビタミンのため、体内に蓄えることができません。ほかの脂溶性ビタミンは体脂肪に蓄えることができますが、B群やCの場合は、一生懸命とっても、使えない分はそのまま尿に出ていってしまいます。

栄養剤や栄養ドリンクなどを飲んだ後に、尿の色が黄色くなっているのを見たことがある人は多いでしょう。あれはビタミンB2の色なのです。ビタミン摂取の上級者になると、この尿の黄色の程度をチェックすることで、摂取したビタミンB群が効いているかどうかを判断する人もいます。

まずは、この不足しがちなビタミンB群とビタミンCを積極的にとることが、脂肪燃焼体質へ近づくためのスタートラインです。しかも、蓄えることができない栄養素ですから、毎日の摂取が必要です。

脂肪燃焼の不具合④:ミネラル不足

先に指摘した鉄以外にも、さまざまなミネラル不足が起きています。

とくに不足するものが「Mg(マグネシウム)」と「Zn(亜鉛=英語でZinc)」の2つです。タンパク質や鉄と同じく、ほとんどの日本人に不足しているといっていいでしょう。

この2つのミネラルは、脂肪を燃焼してエネルギーを生み出す回路を動かすうえで欠かせないものです。不足すると脂肪燃焼が停滞してしまいます。

マグネシウムを豊富に含む食品たち
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マグネシウムは、ほかの多くの栄養素と違って、食事から十分量摂取することのできる、数少ない栄養素です。豆腐を作る際に使われる「にがり」や、天然塩などに豊富に含まれています。

また、マグネシウムは皮膚からも吸収することができるため、入浴の際にミネラルを多量に含む塩をお湯に溶かし入れることで補充ができます。お風呂に入れるマグネシウムとしては、「硫酸マグネシウム」が主成分の「エプソムソルト」が有名です。「ソルト」という名が付いてはいますが、硫酸マグネシウムの純粋な結晶で、塩分は含まれていません。

一方、亜鉛は貝類・肉類・豆類などに含まれてはいますが、いずれも微量なため、こちらは食事から十分な量をとることが難しく、サプリメントでとる必要があります。

ただし、亜鉛不足の人のほとんどは、タンパク質不足も同時に抱えています。タンパク質不足が重い場合には、亜鉛を胃が受け付けないことがあります。胃壁も消化液も、タンパク質でできているためです。タンパク質不足の人のなかには、亜鉛が負担になってしまい、胃もたれや吐き気を起こす人もいます。

このため、ビタミン類と同様に、ミネラルをとる前にタンパク質不足の解消が必要になります。