野田聖子氏の掲げた目標
総裁選ではこの問題を含め「ジェンダー・多様性」について、議論が行われた。総裁選告示の前日になって、野田聖子氏が立候補した効果が大きかった。
野田氏は、障害がある子どもがいて、女性、子育て、障害者などの問題に取り組んできたことで知られる政治家だ。選択的夫婦別姓の導入に賛成で、積極的に推進している。「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」(通称・候補者男女均等法)は、政党が国政選挙や地方選挙で候補者の数をできる限り男女均等にするよう努力義務を定めた法律で、2018年に施行されたが、その制定にも尽力した。
野田氏は、総裁選立候補の理由について「人口減少や高齢化の中で、次の日本をつくるためにこれまで主役になれなかった女性、子ども、高齢者、障害者がしっかりとこの社会の中で生きていける、生きる価値があるんだという保守の政治を自民党の中でつくり上げていきたい」と語った。
政府の目標を軽々と飛び越えた
そして「日本初の女性の総理になったら、社会のパラダイムシフトを一気に加速させる。まず政治から変えていくということで、野田内閣の女性閣僚は全体の半分になるように目指していく。実はもうすでに意中の人たちのリストは私の心の中にある」と述べて、多くの人たちを驚かせた。
政府は「2020年代の可能な限り早期に(指導的地位に占める女性の割合が)30%程度となるよう目指して取組を進める」という目標を掲げている。これでさえ、かつての「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に占める女性の割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」という「202030目標」をさらに先送りしたものなのだが、野田氏の主張は政府目標を軽々と飛び越えて見せた。
「30%」目標は、「黄金の3割」や「クリティカル・マス」の考え方がベースになっているが、野田氏の「閣僚の半分を女性に」との主張は、男女同数を目指す「パリテ」という考え方がもとになっているのだろう。パリテは、同質・同量を意味する仏語で、フランスでは2000年に「パリテ法」が制定され、国政と地方のほぼすべての選挙で、政党の候補者を男女同数にすることが義務づけられた。