思いばかりが先走った自己流で失敗が拡大する

前述したような作業は、会社を辞める前にやっておきましょう。そして、融資も受けられて計画にも自信が持てるようになったら、それから会社を辞めても遅くない。

起業への意欲がある人は、往々にして本人の思い入れが強く、思いばかりが先走って自己流になりがち。それが、失敗の拡大にもつながります。

しかも、それが自己資金や身内のお金だと、そのまま突っ走り、うまくいかないと何とかしようと熱くなり、新たに借り入れをして雪だるま式に借金が増え、身動きが取れなくなるまで損を拡大させていく可能性があります。

けれど、金融機関から借りたお金なら、担保さえ最小限にしておけば、ダメだったら会社を倒産させればそこで終わります。親類縁者にも迷惑をかけることがありませんから、失敗をかてに、再度奮起して立ち上がろうとする時に、応援してもらうことだって可能かもしれません。

契約を交わしお金を借りる様子
写真=iStock.com/Atstock Productions
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会社を辞める前にやっておきたい5つの鉄則

「起業」などで会社を辞めると決めても、実際に辞める前にやっておきたい5つのことがあります。

①収入の1年ぶんの蓄えを用意する
②「有給休暇」をフルに使う
③健康診断で、悪いところがあったら治しておく
④クレジットカードをつくっておく
⑤賃貸物件を借りておく

この5項目をクリアしておかないと、退職後にアセることになりかねません。

①収入の1年ぶんの蓄えを用意する

会社を辞める前に、子供がいたら年収の1年ぶん、独身者なら年収の半年ぶんの貯金をしておきましょう。

働いていた年数にもよりますが、たとえば45歳以上で20年勤めていた場合、会社都合の退職だと、最大で約11カ月ぶんの失業保険が給付されます。この失業保険と年収1年ぶんがあれば、2年くらいは食いつなぐことができるでしょう。

それだけの期間があれば、望む仕事を探したり、起業することもできるはず。

辞めてもすぐに就職しなくては食っていけない状況だと、やりたくない仕事でもやらなくてはならなくなりますから、それこそ大変なことになるかも。