心理的安全性の高い職場を作るためにはどうすればいいのか。心理学者の松村亜里さんは「心理的安全性をつくるには、人間関係を壊す『批判』『侮辱』『自己弁護』『逃避』という4つの毒を減らす必要がある」という――。

※本稿は、松村亜里『誰もが幸せに成長できる 心理的安全性の高め方』(WAVE出版)の一部を再編集したものです。

テーブルで話している子供を持つ母親
写真=iStock.com/kohei_hara
※写真はイメージです

母親は「子育てスキル」と「つながり」のどちらを優先すべきか

まずは、心理的安全性を高めるためのベースとなる、一番大切な基本的欲求、〈関係性〉についてお話ししていきましょう。

心理的安全性の定義――たとえ対人的なリスクをとっても、このチームは安全であるという共通の認識を、メンバーが持っていること――を思い返してみても、関係性がその要となっていることがわかりますね。

松村亜里『誰もが幸せに成長できる 心理的安全性の高め方』(WAVE出版)
松村亜里『誰もが幸せに成長できる 心理的安全性の高め方』(WAVE出版)

よい関係性がつくれれば、心理的安全性はグッと高まります。

そこで、いきなりですが、あなたに質問です。

あなたは、お母さんが子育てに関する最強の情報やスキルを持っているのと、質のよいつながりがあるのとでは、どちらが幸せに大きく影響すると思いますか?

「いくら関係性の話をするからって、それはやっぱり情報やスキルでしょう」

という声が聞こえてきそうですね。私も、これは子育てで最初に陥ったワナでした。

実は、答えは「質のよいつながり」。子育ての研究では、いくら多くの情報や最強の子育てスキルを持っていても、1人で頑張っていたのでは、精神的にも肉体的にも限界があることがわかっています。

パートナーや親、友だち、コミュニティのメンバーなどとよいつながりがあって、子育てについて相談し合ったり、助け合ったりできたら、もっと幸せに子育てができるのです。そのくらい、人との関係性は大事なことなのですね。