心理的安全性の高い職場を作るためにはどうすればいいのか。心理学者の松村亜里さんは「心理的安全性をつくるには、人間関係を壊す『批判』『侮辱』『自己弁護』『逃避』という4つの毒を減らす必要がある」という――。
※本稿は、松村亜里『誰もが幸せに成長できる 心理的安全性の高め方』(WAVE出版)の一部を再編集したものです。
母親は「子育てスキル」と「つながり」のどちらを優先すべきか
まずは、心理的安全性を高めるためのベースとなる、一番大切な基本的欲求、〈関係性〉についてお話ししていきましょう。
心理的安全性の定義――たとえ対人的なリスクをとっても、このチームは安全であるという共通の認識を、メンバーが持っていること――を思い返してみても、関係性がその要となっていることがわかりますね。
よい関係性がつくれれば、心理的安全性はグッと高まります。
そこで、いきなりですが、あなたに質問です。
あなたは、お母さんが子育てに関する最強の情報やスキルを持っているのと、質のよいつながりがあるのとでは、どちらが幸せに大きく影響すると思いますか?
「いくら関係性の話をするからって、それはやっぱり情報やスキルでしょう」
という声が聞こえてきそうですね。私も、これは子育てで最初に陥ったワナでした。
実は、答えは「質のよいつながり」。子育ての研究では、いくら多くの情報や最強の子育てスキルを持っていても、1人で頑張っていたのでは、精神的にも肉体的にも限界があることがわかっています。
パートナーや親、友だち、コミュニティのメンバーなどとよいつながりがあって、子育てについて相談し合ったり、助け合ったりできたら、もっと幸せに子育てができるのです。そのくらい、人との関係性は大事なことなのですね。