性加害に遭った人は被害者。声を上げた勇気を讃えたい
もし現在、性暴力や性加害に遭っている人がいたら、ひとりで抱え込まず、警察に通報するか、信頼できる人や性暴力の救援窓口などに相談してほしいと思います。間違っても「自分にすきがあったからかも」なんて思わなくていい。あなたは悪くありません。
今でこそ公然わいせつ事件が起こると地域の不審者情報として共有されますが、私が小学生の時は、通学路ではない道を歩いていただけで自己責任にされてしまったという経験があります。それが納得できなくて「世界、爆発しろ」というぐらいに思っていたんですけれど、その頃、女子大学生たちが海外旅行中に性被害に遭った事件がありました。テレビでは「なぜ外国で男についていくんだ」と彼女たちがバッシングされる中、尊敬する研究者の田嶋陽子さんが「玄関が開いていたとしても、物を盗んだら泥棒。彼女たちは被害者だ」と言っていて、とても救われたんですね。被害に遭った人に落ち度はない。セカンドレイプをしてはならない。社会全体がその意識を共有していくことが大事で、田嶋さんが言ってくれたような一言で救われる人はたくさんいるはずです。
当時、30年前は田嶋さんのような女性が「セクハラだ」と言うだけで叩かれていた時代でしたが、幸いにも現在は多くの人の意識が変わり、叩いた方が批判されるようになりました。だから、将来振り返ってみたとき、今回の告発と連帯をきっかけとして日本の映画業界が変わったということにしたいですね。実際に被害者の女性たちが声を上げてくれたことで、私たち、原作者も学んで変わることができたので、彼女たちに感謝し、その勇気を称えたいと思っています。
(構成=小田慶子)