「給料は下がるのに物価は上がる」最悪の展開に
それよりも、過去の発想から脱却できず、稼ぎ頭となる事業の確立が難しい企業は多い。本邦企業の業績は悪化し、経済成長率は低下するだろう。内閣府によると2021年10〜12月期の需給ギャップはマイナス3.1%と推計され、需要不足の状況が続いている。円安による輸入物価の押し上げによって日用品などの価格は上昇し、需給ギャップのマイナス幅は拡大するだろう。その展開が現実となれば企業業績はさらに悪化し、潜在成長率が低下する。
経済の実力が低下すれば、国内の給料は減少するだろう。世界的な供給制約の深刻化によってモノやサービスの価格が上昇し、それと同時に給料が減少する展開は、家計にとってかなり苦しい。円安の進行によって支出を見直して生活の防衛を余儀なくされる家計は増えるだろう。その結果として日本経済の凋落ぶりが鮮明化し、円の先安感も追加的に上昇するという負の連鎖が懸念される。