義姉「そんなことないわよ! 私だって協力するもの!」のウソ

すると「そんなことないわよ! 私だって協力するもの!」と義姉。そこで能登さんはにっこり。

「お義姉さん、お義父さんとお義母さんの遺産を相続する代わりに、介護もやってくれるんですね! 以前、『プロらしく介護しろ!』って仰っていたから、てっきり私たちに丸投げするのだと思っていました。メインは私たちで構いませんが、たまにはお義姉さんのところに1〜2カ月行くのも、旅行気分で良いかもしれませんね! 私たちも助かりますし、お子さんたちもお祖父ちゃんお祖母ちゃんとゆっくり過ごせるし、お義姉さんも、お義母さんにいろいろ助けてもらえるからありがたいですよね?」

義姉は顔面蒼白で、「1〜2カ月はちょっと……」とぽつり。

思考が糸でつながる男女
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「俺らは年単位でみるんだよ。姉ちゃんがお父さんとお母さんをみて、俺が相続放棄するっていうのでも全然構わないんだけど?」

夫が訊ねると、姉はか細い声で言った。

「お父さんとお母さんのことは、あなたに任せるわ。相続を放棄するかは、夫と話し合ってから返事します……」

我慢していた30代嫁がついに爆発、痛快な啖呵を切った

すると義母が、「ゆっくり考えればいいわよ! この子ばっかり責められて、かわいそうで見てられないわ」とかばう。その言葉を聞いた能登さんは、思いのたけを吐き出した。

「お義母さん、失礼ですけど、元を正せば、お父さんとお母さんの借金が原因ですよね? お義姉さんは家が遠いって言い訳してちっとも来ないし、かわいそうと言うなら夫のほうがよっぽどかわいそうですよ。都合の悪いときだけお義父さんや物忘れのせいにする母親! 親のことをみる気もないくせに、口ばっか出してお金のことは一丁前に主張してくる姉! 急激に認知症が進んでいる父親! 夫は全部一人で背負ってるんです! 感謝されても文句言われる筋合いはないと思います!」

思わず義姉は、「あなたにそこまで言われる筋合いないわよ!」と立ち上がる。しかし能登さんは、一喝した。

「それなら自分の親の介護くらいやりなさいよ! 文句ばかり言って、面倒なことは全部弟夫婦。何年も来なかったくせに、家売ってお金が入りそうとわかったら急にやってくる。弟の嫁が自分の思い通りになるなんて思わないでください!」

姉は絶句するしかなかった。

「千秋の言うことはもっともだと思う。これから千秋には絶対に迷惑かけるんだから、何回お礼言ったって足りないよ。姉ちゃん、両親は俺ら夫婦がみるけど、これまで通り何もしないなら相続放棄を頼む。それができないなら、俺はどんなことをしても、娘として親を見るという義務を果たしてもらうから。お義兄さんと相談したら、早いうちに連絡して」

夫がしめると、能登家最初で最後の家族会議は終了した。