2つ目はオリジナル商品の開発力だ。現在、店頭ではセブン&アイ・ホールディングスのプライベートブランド「セブンプレミアム」を取り扱うほか、オリジナル商品「まちのお菓子屋さん」シリーズや化粧品シリーズ「パラドゥ」などPOSデータや顧客調査を重ね、メーカーと協議しながら顧客ニーズに合致した商品を企画・開発し店舗に投入している。

オリジナル商品は当然、競合チェーンでも行われているが、メーカーの担当者等の話を総合すると、セブンと協力して行う商品開発は、競合チェーンの10倍以上手間ひまをかけていると言う。俗に1000のアイデアのうち、店頭に並ぶのはわずか3つという。それだけふるいにかけることで、顧客ニーズに限りなく近づくだけでなく、顧客が気付いていない新市場を創造するために仮説・検証を重ねながら商品企画を行い、形になったものだけが店頭に並ぶ。

3つ目はQSCの“超”徹底だ。QSCは商品のクオリティー(quality、質)、接客サービス(service)、清潔さ(cleanliness)の頭文字だが、特筆すべきは徹底した清潔さの追求である。例えば店頭の清掃を行う場合、自店の前のみ行うのが一般的だが、多くのセブン店舗では、スタッフが店頭の前後10メートルくらいまで清掃している姿を見かける。

筆者が「なぜ、そこ(店舗の周囲)まで清掃するのか?」と尋ねると、「お客様は道路を歩きながら立ち寄るか、立ち寄らないかを考えている。だからこそ、店頭のみならず最低でも前後10メートルくらいの道を清掃しなければ気持ちよくお迎えすることができない」とのこと。さらに店舗周辺を清掃することで、地域社会との共生やファンづくりにも繋がり、足元商圏の客の固定客化をより強固なものにすると思われる。

ダントツの顧客満足度は、消費者から見える部分だけでなく、立地の選定から商品開発といった見えない部分においても努力を積み重ねた妥当な結果であろう。