この2カ月間で感染者数は激増している
さて、ここからがこの記事の本題である、第3段階の話です。オミクロン株による第6波は1月末から2月頭にかけてピークアウトしたはずなのにもかかわらず、ゆっくりとしか減少していません。そして直近では、またじわじわと感染者数が増加に転じています。
感染者数を数えてみると驚くべきことがわかります。2年前にコロナが出現してから2022年の1月末までの累計感染者数は約270万人だったのに、それから2カ月たった3月末の累計感染者は約640万人です。
つまりそれまでの2年間よりも、このわずか最近の2カ月でかかってしまった人数の方がずっと多いのです。状況的には決して安心できる環境ではなく、むしろいつコロナにかかるかわからないと考えるべきです。
「でもオミクロン株は重症化しにくいからいいんじゃないの?」
という空気があるのは知っていますが、2月3月の死亡者数のグラフを見るとグラフの山がこれまでのどの波よりも大きいのをご存知でしょうか? この2カ月でのコロナでの死亡者は約9000人。2年2カ月にわたるコロナ禍全体の死亡者のうち、約3分の1がこの2カ月に亡くなっていることからわかる通り、やはり第6波の被害は大きいのです。
「もはや正しい答えなどない」が政府の結論
実はコロナ被害は直近が一番大きい。しかも一旦減り始めた感染者数も増加に転じ始めている。なのに国はまん延防止を解除した。いったいどうしたいと思っているのでしょうか。
そこで第3段階の答えです。政府が暗に言いたいことは、
「もうここから先は賛成意見も反対意見も含め、これを日常に戻していこう」
ということではないのか? これが、まん防解除を発表した岸田総理の顔色を伺ったうえでの私の理解です。言い換えると、第3段階まで行くと「この問題には、もはや正しい答えなどない」ということなのでしょう。
コロナ禍以前はインフルエンザでの死者数が年間1万人規模だったと推定されています。この推定は「超過死亡」という考え方で推測されます。統計から推測される通常の死者数よりも多かった分をインフルエンザによって引き起こされた死だと推定しようということです。
ところがコロナ禍ではインフルエンザが激減しました。一方でそれと同規模でコロナでの死者が出現しています。結局のところ死者数が問題になっているのではなく、医療崩壊が起きるかどうかがこれまでの最大の問題だったわけです。