歓送迎会のシーズンが到来した。全国でまん延防止等重点措置は解除されたが、日本人の経済活動は元に戻るのか。経営コンサルタントの鈴木貴博さんは「東京都民が職場の5人で歓迎会をすることは可能なのかを考えることがヒントになる」という――。
まん延防止等重点措置が解除されて初の日曜日となった2022年3月27日、東京・千鳥ケ淵の桜が見頃を迎え多くの人が訪れていた=東京都千代田区
写真=時事通信フォト
まん延防止等重点措置が解除されて初の日曜日となった2022年3月27日、東京・千鳥ケ淵の桜が見頃を迎え多くの人が訪れていた=東京都千代田区

「職場の5人で歓迎会」はやってもいいのか

3月21日で全国一斉に「まん延防止等重点措置が解除」になりました。そこで次のクイズから話を始めさせてください。

Q:東京都民が4月1日に配属された新人を歓迎するために職場の5人で歓迎会をする場合、どうするのが正しいと東京都は決めているでしょうか?

1 まだ歓迎会は全面禁止
2 ひとり外して4人にするならOKだが5人以上は全面禁止
3 全員がPCR検査を受けて陰性証明書を提出すれば5人でもOK

コロナ禍のそれぞれの時期でルールがいろいろと変わってきましたから「今はどうなの?」というと自信をもって答えられる方は少ないかもしれませんね。小池百合子都知事の顔を思い浮かべながら解答してみてください。

このクイズ、実は答えが3段階あるのですが、第1段階での正解は3です。東京都はまん防解除後も4月24日までの約1カ月は「リバウンド警戒期間」と設定していて各種規制を続けています。東京都から「感染防止徹底点検済証」を交付されている居酒屋などの飲食店の場合、4人以内で2時間以内というのが入店の基本ルールです。

しかし例外規定があって、陰性証明書等を活用して全員の陰性をお店が確認した場合は5人以上の宴会がOKになります。

「みんなでPRC検査を受ければOK」だが…

それで幹事さんがおそらく疑問に思うのが「陰性証明書ってどうすれば手にはいるのか?」ということでしょう。東京都は「飲食、イベント、旅行・帰省等の活動に際して、陰性の検査結果を確認する必要がある無症状の方」を対象にPCR等検査無料化事業を実施しています。5人で歓迎会を開く場合、職場のみんなで都の登録を受けた民間の検査場に行くことになります。

「つまり大人数で新人歓迎会をしようとしたら参加者全員が3日前にPCR検査を受けに行けばいいということか!」

というのが第1段階の正解ですが、これは実は「大人力」に欠けた正解です。深読みが足りない。言い換えると小池百合子知事の表情が読めていない。

できるビジネスパーソンはこのルールをどう読むか? もう一段深読みした、

「東京都は『やるな!』と言っている」

という答えが第2段階の正解です。

よい日本人ビジネスパーソンになるためには本音と建前の察知が重要です。わざわざ全員がPCR検査を受けにいって証明書を取得しなければ開催できないように公式ルールが厳しくなっているということは、「やるな」と言っているのと同じだという空気を読むべきです。大人の流儀では決して「いいじゃないか。代わりばんこに職場を抜け出せば、検査料も税金払いだし問題ないよ」などとルール通りに解釈してはいけないのです。