③テレビを付けたまま寝ると太りやすい

警告―─照明またはテレビを付けたまま寝ると、体重増加や肥満のリスクが増加する。

これはノースカロライナ州にある米国国立環境健康科学研究所(NIEHS)が発表した、コホート研究〔疾病の要因・特性と発症の関連を調べるため、対象集団(コホート)を決め、その要因・特性を持つ群と持たない群に分けて観察する研究手法の一つ〕によるものである。

これらの研究者たちは5年間にわたって、35歳から74歳までの4300人以上の女性を観察した。人工光無しで眠っている人と比べて、夜に光に晒されている人は体重が5キロ以上重い(*4)

人工光は体の自然な時計を混乱させ、遅らせ、正常なホルモンバランスを狂わせているように思われる。

これらの結果は、就寝前後に、できるだけ光を除去することによる潜在的利益を示唆している。たとえ視覚的刺激が、自己申告の睡眠の質に顕著な影響をまったく与えなかったとしても、また、因果関係は特定できないという事実にもかかわらずだ。

それなら、センスハッキングは、何かを加えるのと同様、不必要な環境的刺激源を取り除くことでもある。

タブレットで遊んでいる子供
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快眠のためにやるべきこと

夜間の人工光への露出を減らすのに役立つ具体的なセンスハックの観点から、次の提案のいくつかを試してみたらどうだろうか。

最も重要なことは、就寝前の2、3時間は明るいスクリーンを見るのを避ける、いわゆる細胞の夜間外出禁止令を行使することだ。

ただし、私のように、やむなく夜にさまざまな電子機器を使う場合は、専用の眼鏡をかけるか、ブルーライトを除去するようなアプリをダウンロードすることだ。

モバイル機器の中には、太陽が沈んだら自動的に表示画面が暖色系の色に変わるような夜間設定があるものもある。もし寝室に照明が必要ならば、暗赤色の常夜灯はどうだろうか。通常他のライトの色ほどメラトニンレベルに影響しない(*5)

④騒音で夜眠れないという人に効果的な“あるワザ”

あなたは夜にどれくらいの頻度で、不快な騒音で目が覚めるだろうか? 環境騒音被害は、多くの人にとって大きな問題であり、実際に肥満や死亡率の増加につながる。

WHO(世界保健機関)によると、憂慮すべきレベルの騒音は、西洋だけでも百万年以上の健康寿命の喪失につながっている。

原因のほとんどが、騒音性の睡眠障害や苛立ちのせいだと考えられる。騒音が問題になるのは、あなたが寝付こうとするときだけではない。すでに眠っている時でさえも問題になりうる。

夜間の騒音は日中に経験する同レベルの騒音よりも、心血管の健康に有害かもしれないという提言もある(*6)

夜間の不測の背景雑音を遮断するのに効果的な、私の好きなトリックの一つを紹介しよう。穏やかに海岸に砕け散る波のような自然の音を利用することだ。

それが利用できないなら、同期ミスのラジオからのホワイトノイズ(あらゆる周波数成分を同程度に含む雑音、「シャー」と聞こえる音)で十分間に合う(まさにこの目的でホワイトノイズ発生器を販売している会社もある)。