さまざまな性的な悩みに対して柔軟にサービスを行う

エンタメ系企業で営業職を務めるタカシさん(仮名・30歳)は、いわば女風の「出戻り組」のベテランセラピストだ。タカシさんは10年ほど前、学生時代に借金を負い、その返済のために女風に足を踏み入れた。借金の返済後は特に業界に関わることもなく、サラリーマンとして働いていた。しかし、ここ数年で女風がはやっているということを知り、「今の女風はどんな感じになっているのだろう」という興味から再びこの世界に戻ってきた。タカシさんは、多い時で月に30件ほど予約が入る。

女性が性的に喜んでいる姿を見るのが昔から好きだった。タカシさんは、自分の射精にはあまり興味がない。自分がイクことよりも女性が喜ぶ姿を見ているほうが興奮するし、女性の体を開発するという性的探究心もある。

女風には、性的な悩みを抱えている女性が多い。そんな女性に対して、タカシさんは相手の欲望の形によって変幻自在に姿を変えることを得意としている。タカシさんは、Sキャラを求められていることが多いが、ガンガンおもちゃで犯してほしいと言われれば犯すし、逆に自分がペニバン(ディルドにバンドを付け腰に固定できるようにした性具)で犯されることもあるという。

ある意味、進んで女性たちの欲望のおもちゃになれる。自分が操っているようで、実は相手の欲望のままに動くのだ。相手の喜びに応じ尽くすことが、自分にとって極上の喜び。「だから僕の本質は、実は根っからのM気質なんです」タカシさんは自らの性癖をそう分析する。

ベッドサイドの照明
写真=iStock.com/Christopher Ames
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「セックス嫌い」は「挿入が嫌い」なだけ

話を聞いていると、タカシさんはまるで軟体動物のようだと感じる。相手の欲望の形を素早くキャッチし、それに合わせて自らの性欲の在り方も柔軟に変えることができる。

タカシさん自身がまさに女性の欲望を映し出す合わせ鏡のような役割を果たしている。だからこそ、タカシさんは女性たちに絶大な人気を誇るのだろう。

タカシさんは、女風の現場に長年携わる中で、セックスに苦手意識を持つ女性たちを多く見てきた。

「セックスが嫌いという女性によくよく聞いてみると、挿入が嫌いと言ってるだけのことが多いんです。多くの男性は勘違いしがちなのですが、女性からすればデートの瞬間から、前戯に入っているといえる。そもそも僕は挿入だけがセックスだと捉えてはいないんです。挿入がないセックスもあっていいし、もっと自由であるべきだし、たとえ挿入しなくてもゆっくりことを進めていけばいいと思うんです」