一発屋ではなく、本物の実力を証明した

世界のトップクラスがマラソンに本格参戦するのは年に2本ほど。トラック種目と比べて本数を多くこなすことができないため、プロランナーは確実に好結果を残すことが求められる。

鈴木が保持している日本記録は2時間4分56秒。それに次ぐ自身の記録は2時間8分50秒(東京マラソン以前)。参戦した他の4レースは2時間10~12分台だった。

ところが、今年の東京で日本歴代2位の2時間5分28秒をマーク。期限内における上位2レースのポイント平均で順位が決まるマラソンの「ワールドランキング」で12位に浮上した。ただの日本記録保持者ではなく、世界が認める“実力”を身につけたといえるだろう。

日本陸連の瀬古利彦ロードランニングコミッションリーダーも、「1回は当たるんだよ。だけど何回も当てるのは難しい。なぜ走れたのかわからない選手はダメですね。これだから走れたという、自分のメソッドを確立することで、再現性が高くなっていくと思います」と話していたが、今回の鈴木に関しては、「見事、5分台で走ってくれました。日本記録がフロックでないことを証明したと思います」と高く評価した。

一方で鈴木は世界トップとの実力差はまだまだあると感じている。

「本調子なら第1集団に挑戦したいという思いがあったんですけど、今回は第2集団で行きました。しかもトップと3分ぐらいの差が開きましたし、世界記録から3分以上の差があります。そこに行くまでの道は険しいですけど、1日1日の積み上げをやっていくことで世界と戦える選手になれるのかなと思っています」