侵攻の長期化は経済的にも軍事的にも「痛い」

中国商務部のデータによれば、2021年の両国の貿易高は約1469億ドルで、前年同期比で35.9%増となっている。

輸出では、中国車やスマホ、建設機械が伸び、輸入ではロシア産の食品が中国の食卓を飾る関係だ。今後も、5G、バイオ医薬品、グリーン低炭素、スマートシティ、エネルギーなどの分野で協力関係が進むことが期待されている。

ロシアが大きく傷ついてしまうことは、経済的にも軍事的にも中国には「痛い」のだ。

その中国は2011年にウクライナと戦略的パートナーシップを締結している。中国とウクライナの貿易額は2021年、輸出入とも前年比20%超の伸びを示して過去最高を記録した。加えて、ウクライナは中国が提唱する広域経済圏構想「一帯一路」の要衝でもある。

習近平としては、中国がロシアに寄りすぎているとの批判をかわしながら、つながりが深い両国の間の問題を収拾させたいのだ。

「一筋縄ではいかない国」に周辺国は対抗できるか

国際社会で毛嫌いされないよう上手に立ち回りながら、習近平は、全国人民代表大会(全人代)で、軍と武装警察の分科会に出席し、「海外関連の軍事活動に関する法案」という、とんでもない法案策定を指示した。

これは、中国軍を海外に派遣して活動させる根拠となる法律の整備に動き出したことを意味する。「海外派兵法」のような法律ができてしまうと、台湾や尖閣諸島を考えるとき、すでに施行されている改正武警法や海警法と同様に厄介なものになる。

このように国内外で着々と態勢固めをしつつ、軍事的には、強襲揚陸艦の配備増強、音速の5倍以上で飛行する極超音速ミサイルの開発も進めているのが中国だ。日本もアメリカも、中国はロシア以上に「ひと筋縄ではいかない国」と再認識すべきだ。

これに対抗する枠組みとしては、アメリカ、日本、豪州、インドの4カ国から成る「QUAD」という安全保障体制があるが、チームを率いるバイデンは78歳と高齢。日本には有事が起きる前に自衛隊をスタンバイさせられる「領域警備法」のような法律がない。豪州は潜水艦購入問題を契機にフランスと仲が悪い。インドは国連総会のロシア制裁決議を棄権している。

「一枚岩」「十分に強力」とお世辞にも言い切れないところが何とも心もとない。

【関連記事】
元海自特殊部隊員が語る「中国が尖閣諸島に手を出せない理由」【2020年BEST5】
「どんな人なのかが一発でわかる」銀座のママが初対面で必ず確認する"身体の部位"
「仕事やお金を失ってもやめられない」性欲の強さと関係なく発症する"セックス依存症"の怖さ
「ウクライナも北方領土もロシアが正しい」公然とロシアを擁護する中国に日本が打つ手はあるか
東京随一の"セレブ通り"を走る富裕層が「テスラやレクサス」を選ばないワケ