日本初のシステムを次々と開発
開発当初、業者が提案してきたのは、水流ではなく、ベルトコンベアだった。しかし、ベルトだと皿がひっくり返ったとき汚れる可能性があり、清掃の手間が増えてしまう。そこで、社内で知恵を絞って考えた結果、独自の「水回収システム」が生まれた。
「田中社長がよくいっているのは、まず自分たちで考え、実行することが大事だということ。固定観念にとらわれない自由な発想があるからこそ、他社にはまねできない独自の設備が生まれ、いまも進化が続いています」(小山さん)
ビッくらポン! も含め、くら寿司が独自に開発したシステムは業界の進化への影響も大きい。IoTなど科学的な運営の導入や、「抗菌寿司カバー鮮度くん」といった業界初や日本初の他社に先駆けた設備が多い。回転すし業界は、外食産業でもいち早く自動化や省力化が進んでいるが、それを引っ張ってきた業界のイノベーターがくら寿司なのだ。
”鬼滅“効果で平日の売上が過去最高に
ビッくらポン! は、5皿投入すると画面にくら寿司のマスコットキャラクター「むてん丸」の動画が流れる。実はこの動画はほぼ自前で製作されている。絵が得意な現場の社員が「むてん丸」のキャラクターデザインを担当し、知り合いのアニメーターに頼んで動画をつくった。同社は最先端のテクノロジーを駆使したシステム開発に力を入れているが、制作の現場ではまずは自分たちで考えて実行してみることを大切にしているというわけだ。
人気コンテンツとのコラボにも力を入れている。2020年6月にはテレビアニメ『鬼滅の刃』とのコラボ販促キャンペーンで大成功した。初日の全店売上高は平日として過去最高を記録した。