数の多いほうを正しいと思ってしまい、新しい発想を拒絶しがちな統一・一貫性の持つクセは、当然、学習の障害になってしまう。では、このクセの持つマイナス面は、いかにすれば克服できるのか。鍵を握るのは自己報酬神経群である。
自己報酬神経群とは、「自分でやりたい」という本能を生み出す部位である。自分のやりたいことを成し遂げることが、脳にとってのご褒美になるように働く。考える力を鍛え、勝負に強くなり、目標を達成するためには、何事にも「自分でやりたい」という自己報酬神経群の機能を高めることが大切となる。
自己報酬神経群は、人から「やれ」と命じられたときには、ほとんど働かない。やれと言われて嫌々勉強をしても、自己報酬神経群が働かず思考が起こらないから、結果として、すぐに忘れてしまうことになる。
したがって、自己報酬神経群を働かせようと思ったら、人の作ったマニュアルでも、自分だったらこうやるといった自分なりの方法を考え、それを大切にするといいだろう。
また、教える側の人間は、「ああしろこうしろ」と言わないほうがいい。強く叱るのもタブーだ。叱られると、「自分を守りたい」という本能が働き、叱られないことばかり考えるようになる。これでは「自分でやりたい」という本能が機能しない。
上から指示を出さずに、自分だったらこうすると言わせるようにし、自己報酬神経群を存分に刺激してやると、自分でやることが嬉しくなり、思考力も鍛えられてくる。
(構成=山田清機 撮影=小倉和徳)