やりたいことにお金を使えなければ本末転倒

先取り貯蓄のメリットは、毎月着実に一定額が貯まっていくことだけではありません。「貯蓄しなければ」と気にかけることなく、日々お金が使えるということも大きなメリットです。

先取り貯蓄をしていないと、毎月、生活費用の銀行口座に残った残高が貯蓄となるので、「少しでも多く残すために、なるべくお金を使わないようにしなければ」と常に節約のことが気になったり、お金を使うことに罪悪感を覚えたりしてしまいます。

もちろん節約自体は悪いことではありませんし、その心がけは大切です。でも、お金は本来、貯めるためにあるのではなく、使うことで日常を豊かにするためにあります。ネガティブな気持ちに囚われてしまうと、食べたいものややりたいことにお金を使うことを躊躇するようになり、本末転倒になってしまいかねません。

でも、極端な話、毎月一定額を先取りして貯蓄をし、あとは「残ったお金」の範囲でやりくりできれば、何の問題もないのです。家計管理が苦手な人であっても「今月は旅行に行く予定があるから、その分外食は控えよう」「今月は新しいバッグを買ったから、その分できるだけタクシーを使わずに電車を使おう」といった具合に、残ったお金の中で折り合いがつきさえすれば、あとは自由に使い切ってしまってよい、ということになります。

自動的に先取りされる「仕組み」をつくる

先取り貯蓄は、当然ながら早く始めるに越したことはありません。来月から始めよう、今は仕事が忙しいから落ち着いたら始めようと思っていると、日々の忙しさに紛れてそのまま忘れてしまうかもしれません。まだやっていない、という人は、後回しにせずすぐに行動に移すのがおすすめです。

ただし、先取り貯蓄を成功させるには3つのポイントがあります。1つ目のポイントは、毎月、自分で引き出して貯蓄用の口座に移し替えるのではなく、自動的に一定額が先取りされていく「仕組み」をつくるということ。先取りの方法についてはあとで詳しく紹介しますが、財形貯蓄でも、自動積立型の定期預金でも、貯蓄型の保険でも、投資信託の積立でも何でもOKです。

とにかく自動的に先取りされる「仕組み」をつくることで、「今月は想定外の支出があったからやむを得ずスキップしよう」「今月は忙しくて銀行に行けそうにないから来月2カ月分まとめて先取りに回そう」といった“例外”を作らないようにするのです。