老後の不安も吹き飛ばせる“先取り貯蓄”
かれこれ20年以上、ファイナンシャルプランナーとして多くの家計を見てきましたが、その中で、ひしひしと感じていることがあります。それは、「収入と貯蓄額は必ずしも比例しない」ということ。
バリバリと働き、多くの収入があるのにほとんど貯蓄ができていない人もいれば、収入が決して多いとは言えなくても、老後2000万円問題なんて吹き飛んでしまうほどの貯蓄をしている人もいます。そして、そうした「貯まる人」に多く見られる共通点が、“先取り貯蓄”をやっている、ということなのです。
先取り貯蓄とは、毎月口座に残ったお金=貯蓄、というのではなく、給与が振り込まれたらまず、将来への備えとして一定額を先取りして貯蓄してしまう方法です。その逆とも言えるのが、給与が振り込まれたらそこから日々の生活を支出していき、余ったらそれを将来のための貯蓄に回す、という方法。これを私は“成り行き貯蓄”と呼んでいます。
いつのまにか“成り行き貯蓄”になっていないか
“成り行き貯蓄”と聞くと、計画性がない人がやっているようなイメージを持つかもしれませんが、そんなことはありません。そもそも生活費というものは、予算を組んできちんと管理しようと思ったところでなかなか思い通りにはならないもの。「親知らずが急に痛くなって歯医者に言ったら思いの外、治療費がかかってしまった」「忘れていた頃に自動車保険のお知らせがきた」「急にエアコンが壊れて修理したら数万円かかった」といったことは、誰にとっても起こり得ること。
自分は無駄遣いしないから大丈夫、と思っても、“先取り貯蓄”をしていない限りは、結果的に“成り行き貯蓄”になってしまっている可能性は高いのです。
「貯まる人」の多くは、“先取り貯蓄”をやっており、「貯まらない人」の多くは“成り行き貯蓄”になってしまっている――さて、あなたはどちらでしょうか。