日本で目指すのは「すべての情報を一つに」
一方で、引き続き日本でもスマートニュースの存在感が増している。
国内の調査会社であるICT総研の「2021年 モバイルニュースアプリ市場動向調査」によると、17年度末に4683万人だったモバイルニュースアプリの利用者数は、21年度末には5874万人まで増加。23年度には6183万人に達すると予測されている。スマートフォンやタブレットの普及により、ニュースはモバイルニュースアプリで見るのが当たり前になりつつある。
さらに同調査によると、モバイルニュースアプリ利用率は、1位の「Yahoo!ニュース」63.5%、2位がスマートニュースの56.2%となっており、3位で37.0%の「LINE NEWS」を引き離して、2強状態に突入したことがわかる。特に、スマートニュースの利用率は前回から34.8ポイント増と急速に浸透している。
日本で人気が広まった理由はアメリカとは異なる。アメリカでは情報の偏りによる社会の分断が大きな課題になっており、それをスマートニュースの「News From All Sides」機能が解決することで支持を得た。一方で、日本のユーザーが求めていたのは「ニュース以外の生活に密着した機能の充実」だ。
「朝起きてから寝るまで、人々はいろんな情報に接しています。例えば、朝起きたらテレビを付けて天気予報を見て、アプリで占いを見て、交通情報を調べ、新聞でニュースを読んで、昼にはランチ情報を調べるといった具合です。スマートニュースには、ユーザーが欲している情報の中で、AIベースで親和性の高いものはどんどん載せていきたいと考えています。『すべての情報がスマートニュース上にある』という世界観です」
アイドル動画もチラシ情報も
例えば、雨が降ることを知らせてくれる「雨雲レーダー」は、天気を予報するだけではない。
「スマホ×天気予報のソリューションを提案したら、ものすごく受けて、ユーザーが増えました。位置情報を利用して、今いる場所で『10分後に雨が降ります』とわかりやすく知らせてくれることが人気の理由だと思います」
ニュースアプリというと、若いユーザーが多そうだが、実際には老若男女、どの層にもまんべんなく使われているという。というのも、日本のスマートニュースには、独占配信されるアイドルの動画があれば、クーポンやチラシ情報もあり、マンガさえも読める。いろんな情報が1つのアプリ上にあることで、幅広いユーザーに受け入れられるようになったのだという。