もしものときの保障も充実

私が厚生年金加入を有利と考える理由は4つあります。

まず1つは、公的年金は一生涯受け取ることができる終身型であり、受け取れる年金額を増やすことは老後資金づくりにおいて、とても重要だからです。長生きするほど、支払った保険料に比して受け取れる年金額の合計が多くなります。

2つ目の理由は、前述の保険料は自身が負担する分で、企業もそれと同じ額を負担してくれることです。必要な保険料の半分での負担で、将来の年金を増やすことができるのです。

安心感が増すのは老後だけではなく、老後を迎える前にも、多くの保障が得られる、というのが3つ目の理由です。

公的年金には、重い障害を負った場合には「障害年金」、死亡した場合は遺族に給付される「遺族年金」があります。いずれも、厚生年金に加入している人の方が保障は手厚く、給付額が多くなるのです。

年金手帳を両手で持つ女性
写真=iStock.com/west
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厚生年金加入なら、健康保険にも加入

4つ目の理由は、厚生年金に加入すると、健康保険にも加入することになるからです。

健康保険に加入すると、病気やケガで働けなくなった場合、最長1年6カ月間、給与の一部が支給される「傷病手当金」の給付が受けられます。給与の3分の2に相当する額ですが、非課税のため、実質的には給与の7割程度とみていいでしょう。

傷病手当金
◇年収120万円の人が180日間休業した場合/39万9600円
◇年収150万円の人が180日間休業した場合/50万400円

保険料がかかって手取りが減るのは嫌、と思うより、勤務時間を増やすなど、保険料が天引きされても今より手取りが減らないくらい働く。老後資金を考えれば、それが理想的といえるでしょう。

なお、この改正によって厚生年金適用になることが予想されるのは、会社員などの妻である第3号被保険者が約27%、自営業者やその妻などの第1号被保険者が約45%、60歳以上などの国民年金非加入が約28%です(厚生労働省資料による)。第1号被保険者(自営業者の妻やフリーランスなど)の場合は国民年金保険料を払いますが、月収18万円までなら、国民年金よりも厚生年金に加入する方が保険料は安くなります。