「シルクロード」という絶妙なネーミング

進藤によれば、この場所は横浜中華街の中でも元町がすぐそばにあり、「シルクロードのような西域的な文化を展開するには一番いいと思ったのです。しかもさびれているから、家賃も安い」。

なお今日の南門シルクロードという街路名は、シルクロード地帯の商品を扱うチャイハネがあったからこそ命名されたものである(横浜商科大学編、2009年、189~206頁/『豆彩』編集部編、2018年、21頁)。

チャイハネが開業する以前の南門シルクロードは、外国人居留地時代は本村通りと呼ばれ、その後、南門通りとなったが、中国料理店などは少なく横浜中華街の裏通り的な道であった。

西洋的でハイカラなイメージをもつ元町から、前田橋を渡り、南門(現・朱雀門)をくぐると南門通りとなり、いよいよ東洋的な中華街に入っていく。西洋と東洋を結ぶのがシルクロード。南門通りが南門シルクロードと呼ばれるように至った「理屈」がここにある。

「NHK特集」によってブームに

開店2年後、「チャイハネ」は人気となった。その追い風となったのが、すでに述べた1980年4月から1年間放送された「NHK特集シルクロード」によるシルクロード・ブームであった。

その後、チャイハネは全国各地に60以上の店舗を展開している(2021年現在)。

南門シルクロードに「パート1」および「パート2」の2店舗を構えるチャイハネに対して、同業種のマライカ中華街店が2009年に進出し、シルクロード的雰囲気をさらに高めている。

いつから占い店が増加したのか

近年、横浜中華街を訪れるたびに感じるのは、占い店の増加である。いったいいつごろから占い店が増えてきたのだろうか。

中華街発展会は毎年、「横浜中華街ガイドマップ」を発行している。過去にさかのぼって調べてみると、2003年版に「その他」のジャンルで、「占いやかた」の本店、3号店、4号店の3軒が記載されている。

独立した「占い」ジャンルが出てくるのが2011年版で、8軒が記載されている。2021年版の「占い」には16軒が記載されている。これらの占い店は中華街発展会の会員であり、このほかに非会員の占い店も少なくない。